クラリティ法案、8月休会前ラストウィーク—倫理条項削除の新テキストで民主党離反・Polymarket成立確率43%

クラリティ法案、8月休会前ラストウィーク—倫理条項削除の新テキストで民主党離反・Polymarket成立確率43%

米上院で審議中のCLARITY Actが8月7日の休会前に採決を迎える正念場に。倫理条項削除の新テキストに民主党が反発し、Polymarket予測市場では成立確率43%。2027年持ち越しシナリオがGameFi・DeFi規制環境に与える影響を先読み解説。

米国のデジタル資産市場構造法案「CLARITY Act(Digital Asset Market Clarity Act)」が、上院の8月7日休会を目前に控え、成立に向けたラストウィークを迎えている。共和党主導で提出された新テキストからトランプ大統領一族に関する倫理条項が削除されたことに民主党が強く反発しており、予測市場Polymarketでは年内成立確率が43%まで低下している。採決が持ち越された場合、GameFiやDeFi領域の規制環境は2027年まで不透明な状態が続く可能性がある。

CLARITY Actとは何か——GameFi・DeFi事業者にとっての意味

CLARITY Act(Digital Asset Market Clarity Act)は、米国におけるデジタル資産の管轄権を明確化する市場構造法案だ。SEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)の間で長年グレーゾーンとされてきたトークンの分類基準を法的に定め、どのトークンが「証券」で、どれが「デジタル商品」に該当するかを整理する狙いがある。

法案は2026年前半に下院を超党派で通過しており、現在は上院での審議が最終局面を迎えている。GameFiやDeFi事業者にとっては、ゲーム内トークンやガバナンストークンの発行・流通に関する法的位置づけがようやく定まる可能性があり、米国市場でのサービス展開判断に直結する重要な立法だ。

現行のSECによる「執行による規制(regulation by enforcement)」の状態が続く限り、日本発のブロックチェーンゲームプロジェクトも米国ユーザーへの提供可否を慎重に検討せざるを得ない。CLARITY Actの成立は、業界全体の予見可能性を高める転換点となる。

8月7日休会がタイムリミット——ラミス上院議員が採決を推進

7月中の採決を目指す共和党のスケジュール

Wyoming州選出のシンシア・ラミス(Cynthia Lummis)上院議員は、CLARITY Actの上院採決を7月中に実施するよう強く推進している。米上院は8月7日から夏季休会に入る予定で、それまでに本会議での採決にこぎつけなければ、審議は秋以降に持ち越される公算が大きい。

秋には2027会計年度予算や他の重要法案の審議が集中するため、暗号資産関連法案が後回しにされるリスクは高い。中間選挙イヤーである2026年後半は政治日程がさらに逼迫し、最悪の場合は2027年以降の再審議となる可能性も指摘されている。

上院銀行委員会と農業委員会の合同マークアップ(法案修正手続き)は既に完了しており、あとは本会議での討論と採決を残すのみだ。しかし、民主党側からの修正要求が相次いでおり、フロア入りのタイミングは流動的な状況が続いている。

倫理条項削除で民主党が離反——60票のハードルが厳しく

トランプ一族の暗号資産事業を制限する条項が削除

共和党側が提出した最新の法案テキストからは、当初含まれていたトランプ大統領一族に関する倫理条項が削除された。当該条項は、大統領やその家族が保有する暗号資産関連事業(World Liberty Financial等のDeFiプロジェクトを含む)に対する利益相反規制を含んでいたとされる。

削除の判断に対して、民主党側は強く反発している。上院で法案を通過させるには60票が必要となるが、共和党が過半数を占めるとはいえ、フィリバスター(議事妨害)を回避するには少なくとも数名の民主党議員の賛成票が不可欠だ。倫理条項の扱いを巡る対立が長引けば、超党派での合意形成が困難になり、採決自体が流れる可能性が現実味を帯びてくる。

予測市場Polymarketは成立確率43%を示す

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分散型予測市場Polymarketでは、CLARITY Actの年内成立確率が43%と表示されている。数週間前までは60%台で推移していたが、倫理条項を巡る政治的対立の激化を受けて確率が急落した格好だ。市場参加者の見立てとしては、成立と持ち越しがほぼ拮抗している状況を反映している。

採決失敗時の「2027年持ち越し」シナリオ

GameFi・DeFi規制の不透明期が長期化

仮に8月休会前の採決が実現せず、法案審議が2027年に持ち越された場合、業界には以下のような影響が予想される。

第一に、SECによる執行アクションの継続だ。明確な分類基準が存在しないまま、個別プロジェクトへの提訴や和解が続く状況となり、GameFiプロジェクトのトークン設計や配布方法に関する法的リスクは高止まりする。

第二に、米国ユーザー向けサービスの制限継続だ。日本を含む海外のブロックチェーンゲームプロジェクトは、米国居住者を対象から除外するジオブロッキングを継続せざるを得ず、市場機会の損失が長期化する。

第三に、DeFiプロトコルのオフショア化が加速する可能性がある。明確なルールが定まらない米国を避け、シンガポールやUAE、香港といった規制の見通しが立つ管轄地への事業移転がさらに進むとみられる。

一方で、成立した場合はステーブルコイン規制法「GENIUS Act」と併せて、米国が世界のデジタル資産規制のリーダーシップを取り戻す転換点となる。GameFi領域では、ゲーム内トークンの「デジタル商品」としての位置づけが明確化されれば、大手ゲーム企業の参入障壁が大きく下がることが期待される。

まとめ

CLARITY Actの成否は、単に米国内の規制問題にとどまらない。世界最大の投資家プールを抱える米国市場での法的明確性は、GameFi・DeFi業界全体の資金調達環境やプロジェクトの持続性に直結する。8月7日という物理的なタイムリミットが迫るなか、党派対立を超えた合意形成ができるかが最大の焦点だ。持ち越しとなれば、業界にとって「失われた1年」となるリスクは決して小さくない。今週の動向は要注視である。

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