Research and Marketsが2026年9月4日に公表した最新レポートを解説。ブロックチェーンゲーム市場は2026年の54.8億ドルから2031年に410億ドル規模へ拡大予測。RPG、コレクティブル、BNBチェーン、Polygon、地域別成長率など重要データを整理し、410億ドル産業へ到達するための条件を読み解く。
Research and Markets社(本社:アイルランド・ダブリン)が2026年9月4日に公表した最新市場調査レポート「Blockchain in Gaming - Market Share Analysis, Industry Trends & Statistics, Growth Forecasts (2026-2031)」によると、ブロックチェーンゲーム(BCG)市場は2026年の54.8億ドル(約8,200億円)から2031年には410.2億ドル(約6.1兆円)規模へと拡大し、年平均成長率(CAGR)49.57%を記録する見通しだ。RPGが33.76%のシェアで市場を牽引し、BNBチェーンがプラットフォーム収益の35.87%を占めるなど、BCG産業が本格的なマスアダプション期へと突入する構造的条件が浮かび上がっている。
Research and Marketsが公表した最新レポートによると、世界のブロックチェーンゲーム市場は2025年時点で37.8億ドル、2026年には54.8億ドルに達し、2031年には410.2億ドル規模へと拡大する見通しだ。2026年から2031年までの年平均成長率は49.57%と、他の主要デジタル産業と比較しても突出した水準となる。
成長の原動力として挙げられているのは、プレイヤーが自ら所有できるデジタル資産経済、スケーラブルなブロックチェーン基盤、ガスレスウォレット、そしてモバイル中心の新興ゲーム市場での採用拡大の4点だ。
対象範囲はRPG、オープンワールド、コレクティブル、マルチプレイヤーゲームまで幅広く、Ethereum、BNBチェーン、Polygonなどのプラットフォームに加え、Web、Android、iOS、PC、Mac、コンソールと全デバイスを網羅している。収益モデルもP2E、オンチェーン資産を伴うF2P、P2P、サブスクリプション、ハイブリッド型と多様化している点が特徴だ。
市場拡大の中核にあるのが、プレイヤー自身がキャラクター、仮想土地、武器、コレクティブルなどのデジタル資産を保有・取引・収益化できる「プレイヤー所有型経済」の広がりだ。特に長期育成型ゲームでは、資産が単一のプレイセッションを超えて価値と有用性を維持できるため、採用が進んでいる。
注目すべき変化として、業界はこれまでの投機取引中心の経済圏から、ゲームプレイの実用性・継続率・持続可能な収益に紐づいた設計へと軸足を移している点だ。スマートコントラクトを通じた二次流通ロイヤリティは、スタジオに継続収益をもたらす仕組みとして機能し、活発なトレードコミュニティを支えている。
デフレ型トークン設計や、報酬発行量の制御も重要度を増している。パブリッシャーはより耐久性のあるゲーム内経済を構築する必要に迫られている。
Layer-2スケーリングとガスレスウォレット基盤の進化は、BCG開発の在り方を根本から変えつつある。取引コストの低下と高頻度のゲーム内アクションが実用的になったことで、マイクロトランザクションやリアルタイム対戦、大量の資産移転が現実的な選択肢となった。
さらに、ソーシャルログイン、セッションキー、遅延ウォレット有効化といった仕組みで、オンボーディング障壁も大きく下がっている。Blockchain Game Allianceの調査によれば、初回プレイ後までウォレット設定を遅らせる設計を採用したことで、オンボーディング完了率が30%向上したという。
アカウントアブストラクションの進化により、通常のプレイ体験を損なわずに高額取引時のみ本人確認や規制対応を導入することが可能となり、スタジオ側にとっても導入ハードルが下がっている。
ゲームタイプ別では、RPGが2025年時点で市場全体の33.76%を占めて最大シェアを獲得した。継続的なキャラクター育成やインベントリシステムは、デジタル資産所有と親和性が極めて高く、装備や仮想土地に持続的な有用性を持たせられる点が評価されている。
一方で最速成長を示すと予測されているのがコレクティブルゲームだ。2031年まで年平均50.14%で拡大すると見込まれる。トークン化トレーディングカードゲームが代表例で、収集・レアリティ・二次取引がプレイヤー行動の中核にすでに組み込まれている点が強みとなっている。
Polygonベースで展開されるCourtyardのエコシステムでは、2026年初頭までにガチャ関連の累計消費額が5.82億ドルを超えており、物理×デジタルのコレクティブル統合市場のポテンシャルを示す事例として注目されている。
プラットフォーム別では、BNBチェーンが2025年のプラットフォーム収益の35.87%を占めて首位に立った。低い取引手数料、取引所連動の流動性、東南アジアでの強い参加が背景にある。Ethereumは高額NFT取引の決済レイヤーとBCG向けLayer-2の基盤として、依然戦略的重要性を保っている。
成長率ではPolygonが年平均50.88%で最速の伸びを見せる見通しだ。Ethereum互換性、ガス無料取引、ゲームスタジオや消費者ブランド向けの開発ツールが強みとなっている。2025年のSequence買収により開発基盤が強化された点も、ウォレットアブストラクションやスタジオ支援の重要性を象徴している。
地域別では、北米が2025年に世界市場の46.22%を占めて最大シェアを獲得した。ベンチャー投資の集中、高額NFT取引参加、規制の明確化が追い風となっている。2026年3月には米SECとCFTCが一部のゲーム内NFTを証券に該当しないと明確化し、開発者と投資家の法的不確実性が大きく後退した。
一方、アジア太平洋地域は2031年まで年平均51.98%の成長率が見込まれ、最速拡大地域となる。大規模なモバイルゲーム人口、P2Eモデルへの慣れ、活発なブロックチェーン基盤投資が牽引する。東南アジアではフィリピン、ベトナム、タイを中心にギルド主導型・モバイルファースト型ゲームが根付いている。
日本はステーブルコイン連動型ゲーム決済の環境として比較的予測可能な位置にあり、韓国はBCG IPの重要な供給源として存在感を維持している。MapleStory Universeは2026年時点で累計オンチェーントランザクション1.5億件、アクティブウォレット85万件に到達している。
レポートが示す成長シナリオを実現するための条件は明確だ。ブロックチェーン基盤がエンドユーザーから「見えなくなる」ほど自然な体験になることが、市場成長の前提となる。ゲームクオリティ、持続可能な経済、摩擦のないオンボーディングの3要素が揃わなければ、410億ドルという数字は達成困難だ。
主要プレイヤーとしてはAnimoca Brands、Sky Mavis、Immutable、Mythical、Dapper Labs、Enjin、Wemade、double jump.tokyo、Yuga Labs、Parallel Studiosなどが挙げられている。伝統的ゲームパブリッシャーの参入、クリエイター主導型コミュニティ、クロスプラットフォーム体験の改善が、2031年に向けた採用加速の鍵となる。
2026年から2031年までのCAGR49.57%という予測値は、BCG産業が投機から実利用フェーズへと本格移行する未来を示唆している。ポイントはウォレット体験の「不可視化」と、RPGやコレクティブルにおける長期資産価値の設計だ。北米が規制の追い風で先行する一方、アジア太平洋、特に日本と東南アジアが実需の中心地となる公算が高い。410億ドル市場を掴むのは、投機ではなく「遊びの本質」に立ち返れたプロジェクトだと編集部は見ている。