Ubisoftが「Champions Tactics: Grimoria Chronicles」のWeb3機能を2026年5月27日に終了。NFTマーケットプレイスやフォージが閉鎖され、ゲームはWeb2タイトルへ転換する。Oasysエコシステムや大手パブリッシャーのBCG戦略への影響を読み解く。
フランスの大手ゲームパブリッシャーUbisoft(本社:フランス、以下、Ubisoft)が、自社初の本格的Web3タイトル「Champions Tactics: Grimoria Chronicles」のNFT関連機能を2026年5月27日に完全停止すると発表した。NFTマーケットプレイスおよびChampion生成機能「フォージ(Forge)」を閉鎖し、以降はWeb2タイトルとしての運営に切り替える方針だ。Oasysブロックチェーン上で展開されてきた大手パブリッシャーによるWeb3実験の一区切りとなり、業界に大きな波紋が広がっている。
Ubisoftは2026年5月、自社のブロックチェーンゲーム「Champions Tactics: Grimoria Chronicles」におけるWeb3関連機能を、同月27日に完全停止すると公式に発表した。
停止対象となるのは、NFTキャラクター「Champion NFT」の取引が行われていた公式マーケットプレイスと、Champion NFTを生成・カスタマイズする中核機能「フォージ(Forge)」の2点だ。これによりプレイヤーは保有するChampion NFTを新規に取引したり、追加で生成したりすることができなくなる。
ゲーム自体は完全に終了するわけではなく、Web2タイトルとしてプレイ可能な状態が維持される見込みだが、Web3要素を前面に押し出してきた当初のコンセプトからは大きく舵を切ることになる。
Ubisoftは2024年に同タイトルをローンチし、フランスの老舗ゲーム企業による本格的なブロックチェーンゲーム参入として大きく注目を集めていただけに、わずか1年半あまりでのWeb3機能停止は業界に強いインパクトを与えている。
Champions Tacticsは、日本発のゲーム特化型ブロックチェーン「Oasys」上で展開されてきた象徴的タイトルのひとつである。Oasysにとって、Ubisoftという欧州大手パブリッシャーの参入は、エコシステムの信頼性と国際的なリーチを示す重要な看板であった。
今回のWeb3機能停止により、Oasys側はフラッグシップ級のIPタイトルをひとつ失う形になる。エコシステム全体のNFT流通量や取引アクティビティへの直接的な影響は限定的との見方もあるが、「大手パブリッシャーがOasysを選んだ」というブランド面での求心力に、少なからず影が落ちる可能性は否めない。
一方、Oasysにはバンダイナムコ、SEGA、スクウェア・エニックスといった大手のサポートが続いており、コミュニティはエコシステム全体の長期的な健全性を見極める段階に入っている。Champions Tacticsの撤退は痛手だが、Oasys自体が抱える複数のIPタイトル群によって、ある程度の耐性は維持されているといえる。
今回の発表で焦点となっているのが、すでにChampion NFTを保有するプレイヤーへの対応である。
報道によれば、Ubisoftはマーケットプレイスとフォージの閉鎖以降も、保有するNFTのウォレット上での所有権そのものは維持されるとしている。ただし、ゲーム内ユーティリティや取引機能の多くが失われることで、NFTの実質的な価値や活用範囲は大きく縮小することになる。
Web3ゲームにおいて、「プレイヤーが資産を所有する」という設計思想は最大の魅力のひとつとされてきた。だが、運営側がWeb3機能を停止した場合に、ユーザーの資産価値をどこまで保護するべきかという論点は、業界全体で明確なコンセンサスがない状態だ。
Champions Tacticsのケースは、大手パブリッシャーがWeb3から撤退する際の「プレイヤー保護のひな型」として、今後のBCG運営における重要な参照例となる可能性が高い。コミュニティからは、補償や移行プランの拡充を求める声もあがっており、Ubisoftの対応姿勢が引き続き注目される。
Champions Tacticsは、Ubisoftが2018年以降に進めてきたブロックチェーン研究の集大成的な位置づけにあった。それだけに、Web3機能の停止は同社のブロックチェーン戦略の方向転換を示すシグナルとして受け止められている。
業界関係者の間では、大手パブリッシャーがWeb3ゲームで直面した課題として、以下の点が指摘されている。
まず、コアゲーマー層のNFTに対する根強い反発である。資産性を前面に出すゲーム設計は、純粋にゲーム体験を楽しみたい既存ユーザーから「投機的」と見なされやすく、IPブランドのイメージとも衝突しやすい。次に、トークン経済の持続性の難しさだ。ゲーム内経済とNFT市場のバランス設計は想定以上に複雑で、長期運営に耐える設計を作り上げるには時間とノウハウが要求される。
実際、Ubisoftは2026年に入ってからWeb3関連の新興タイトルとして「Might & Magic Fates」をImmutableと共同でローンチしており、Web3そのものから完全撤退するわけではない。むしろ、自社単独でフルスタックを抱える方式から、専門パートナーと組むハイブリッド方式へと戦略を切り替えつつあるとも読み取れる。
Champions TacticsのWeb3機能停止は、ゲーム業界全体に対しても重要な示唆を与えている。
ひとつは、「大手IPだからといってWeb3で成功するとは限らない」という現実だ。豊富な制作リソースと知名度を持つUbisoftですら、Web3ネイティブのユーザー基盤を立ち上げるには相応の困難が伴う。もうひとつは、Web3機能を「終わらせる」設計の重要性が改めて浮き彫りになった点である。プレイヤーが資産を持つ以上、サービス終了時の処理は通常のオンラインゲーム以上にデリケートだ。
今後、大手スタジオがブロックチェーン領域に参入する際は、立ち上げ時の派手さよりも、長期運営とプレイヤー資産保護を含めた「出口設計」までを織り込んだ慎重なロードマップが求められるようになるだろう。
UbisoftによるChampions Tacticsの Web3機能停止は、大手パブリッシャーによる本格的なBCG実験のひとつの区切りである。Oasysエコシステムにとっては痛手だが、業界全体には「派手なローンチよりも、持続可能な経済設計と出口戦略こそが鍵」という教訓を残した。今後はImmutableと組んだMight & Magic Fatesの動向を含め、大手の「次の一手」が業界の方向性を占う重要な指標となっていくだろう。
BlockchainGamer.biz:https://www.blockchaingamer.biz/news/42272/ubisoft-champions-tactics-shut-down-web3-27th-may/
CryptoDaily(Ubisoft Web3 Pullback):https://cryptodaily.co.uk/2026/05/ubisoft-web3-pullback-nft-economies
CryptoDaily(Oasys関連):https://cryptodaily.co.uk/2026/05/oasys-after-champions-tactics-publisher-exits
Ubisoft公式サイト:https://www.ubisoft.com/
Oasys公式サイト:https://www.oasys.games/
「Champions Tactics™: グリモリア・クロニクルズ」は、ターン制の戦略バトルゲームです。プレイヤーは強力なチャンピオンたちを集め、チームを編成して対戦相手と戦います。戦略的な意思決定とチーム編成が重要で、プレイヤーは異なる能力を持つチャンピオンたちをうまく組み合わせて、勝利を目指します。NFTを用いた独自のチャンピオンが登場し、バトルに投入することが可能です。
◾️ゲーム内容
PvPバトルとチャンピオンの育成。プレイヤーは様々な属性やスキルを持つチャンピオンたちを集め、チームを作り上げ、他のプレイヤーと戦います。また、バトルだけでなく、チャンピオンの成長や進化、そして特定の戦略に基づいたデッキ編成も重要な要素となります。
◾️特徴
ターン制バトル: 戦略的なターン制バトルシステムを採用しており、プレイヤーは適切なタイミングでスキルを発動し、敵を撃破する必要があります。
NFTコレクション: 各チャンピオンはNFTとして存在し、プレイヤーはこれらをコレクションしたり、取引したりすることができます。
PvP要素: 他のプレイヤーとの対戦が主なゲームプレイとなり、ランキングやトーナメントなど、競争要素が充実しています。
成長システム: チャンピオンたちは経験値を獲得し、レベルアップや進化が可能です。これにより、戦術の幅が広がります。
◾️基本情報
ゲームタイトル: Champions Tactics™: グリモリア・クロニクルズ
ジャンル: 戦略バトル、ターン制ストラテジー
対応機種: PC
開発状況 : 2024/10/23
P2E (プレイ・トゥ・アーン): 対応。
ブロックチェーン: HOME Verse(OasysL2チェーン)
NFT: ゲーム内のチャンピオンはNFTとして存在し、独自のスキルや外見を持つ。
提供元/開発元: Ubisoft Entertainment