前回ERC-20、ERC-223と纏めましたが、今回はCryptoKitties(クリプトキティ)でも使われているERC-721の性質、特徴についてご紹介します。
ERC-721は、前回ご紹介したERC-20または、ERC-223同様Ethereumブロックチェーン上における、スマートコントラクトの規格の一つとなります。
現在では、多くのトークンは2015年に開発されたERC-20を採用したトークンが誕生しています。
その後2017年3月にERC-20の問題を解決したERC-223が開発。
それから6ヶ月後の2017年9月に登場したのがERC-721となります。
開発の流れからいうと、ERC-223を更に改良されたのがERC-721と思いがちですが、ERC-721はまた別の性質を持つ規格となります。
ではERC-721とはどのような性質、特徴を持つのでしょうか。
ERC-721はNFT(Non-Fungible Token)と呼ばれています。
Fungibleとは「代替性を持つもの・代替可能」という意味を示し、Non-Fungible TokenであるERC-721は非代替性の性質を持っています。
例えばここに1万円札があるとします。
この1万円札はAさんが持とうがBさんが持とうが同じ1万円(同じ価値)です。
また、新札の1万円札でもしわくちゃな1万円札でもその価値は一緒なので、交換することができます。
仮にAさんが持つ1万円札を両替したとき、受け取る金額が9000円だったらおかしな話ですよね。
旧通貨にプレミアがついたり一部例外はありますが、1万円札という法定通貨は「Fungible」であると言えます。
ERC-721はNFT(Non-Fungible)の性質を持っています。
この性質を利用したゲームとして良く挙げられるのがCryptoKitties(クリプトキティ)です。
CryptoKittiesは2017年の終わりに大流行した、Ethereum上で動かすゲームで、自分だけの猫を育てて、交配させ、猫を売買することができます。
一時Ethereumのネットワークが混雑しCryptoKittiesを利用していないユーザーのトランザクションにも影響が出たほどです。
CryptoKitties内に存在する猫はそれぞれがトークンで、ERC721という規格に沿って実装されています。ユーザーが育てる各トークン(猫)は世界に一つしか存在しないオリジナルな猫で、Non-Fungible(代替不可能)と考えられます。
ERC-721は決済手段などとして使われるマイクロペイメントなどのトークンというよりは、どちらかというと何か「代替不可能なもの」を作成するプラットフォームを作りたい場合に適しています。
DecentralandはEthereumブロックチェーンを活用したVRプラットフォームを構築するプロジェクトです。
LANDトークンはERC721に準拠し管理されており、LANDトークンを所有すること で 仮想空間の利用権(オーナー)であることと同義になっています。
自身が所有する空間(LAND)は自由に利用することができ、その空間上で独自のコンテンツを配布したり、アプリケーションを構築することが可能。
またDecentralandの世界ではERC20に準拠したMANAと呼ばれるトークンも流通。
このMANAトークンを取引することでユーザー間でサービスのやりとりを行うことができます。
こちらもEthereumブロックチェーンを活用したプロジェクトで、イーサリアムのブロックチェーン上で発行されたトークンを自由に手軽に交換するための仕組みを実現しようとしています。
0xを利用することで様々な分散型のアプリ(Dapps)の専用トークンを、低コストに交換することが可能になります。
DEXプロトコルの0XでもERC721で構築ができるようになり、ERC721規格をDEXで交換することが行いやすくなると考えられます。
ここまでERCからERC-721までシリーズ化し纏めてみました。
各規格とも誕生した理由、その特徴について書きましたが、これから仮想通貨が利用される中、このような用語を目にする機会が増えるかも知れません。
少しでも意味がわかるとより理解しやすいと思いますので、ご参考までに目を通して頂けたらと思います。