ImmutableがImmutable ChainをOP Stackベースのイーサリアム・ロールアップへ移行すると発表。2027年Q1にパブリックテストネット移行、同年中ごろ本番移行の予定で、ブロック時間2秒→1秒、出金約7日、手数料微増となる。Gods Unchainedなど既存BCGプレイヤーと開発者への影響、ゲーム用テストネット廃止スケジュールを整理する。
Immutableは、同社が運営するEVM互換ブロックチェーン「Immutable Chain(旧Immutable zkEVM)」を、OP Stackをベースとしたイーサリアムのオプティミスティック・ロールアップへ移行すると発表した。2027年第1四半期にパブリックテストネット移行、同年中ごろに本番移行を予定しており、ブロック時間が2秒から1秒へ短縮される一方、L1への出金所要時間が約7日となるなど、プレイヤーと開発者の双方に実利面の変化が生じる見通しだ。
Immutableは公式ブログ「New Foundations for Immutable Chain」のなかで、現行のGethカスタムフォーク(単一バリデータ、ブロック時間2秒)から、Optimismが主導するOP Stackベースのイーサリアム・ロールアップへと基盤を切り替える方針を明らかにした。現行のネイティブブリッジは外部のクロスチェーン・メッセージング網(Axelar)に依存しているが、移行後はイーサリアム上の状態コミットメントを直接検証する出金方式に置き換わり、当初は許可制のフォールトプルーフ、のちにzk有効性証明の導入を予定している。
背景には、ブロック時間の短縮とイーサリアムのセキュリティへのより強い結びつき、そしてプロトコル/EVMのアップグレードやセキュリティパッチをより早く取り込めるようにしたいという狙いがある。OP Stackは実績のあるオープンソースのロールアップフレームワークで、ツール群やインフラ事業者のサポートも厚い。ImmutableはL2の独自路線を深追いするよりも、業界標準に乗ることで開発者体験と信頼性を底上げする判断をしたかたちだ。
Immutable Chain上では、Gods UnchainedやGuild of Guardians、Illuviumといった主要タイトルが稼働している。基盤移行はこれらBCGの土台そのものが入れ替わる話であり、プレイヤー・開発者ともに影響範囲を正しく把握しておきたいところだ。
移行後のImmutable Chainでは、ブロック生成時間が現状の2秒から1秒へと短縮される。TCGのカード取引やRPGのアイテム移動といった、トランザクション確定を待つ場面での体感速度が改善される見込みだ。
一方で、ガス手数料はわずかに上昇するとされている。もっとも、ゲームプレイで発生する一般的なトランザクションのコスト水準は引き続き低廉に保たれる設計で、プレイヤーが日常的な操作でコスト増を強く意識する場面は限定的とみられる。
最も大きな変化のひとつが、出金(L2→L1イーサリアムへの資産引き出し)の所要時間だ。オプティミスティック・ロールアップの仕組み上、不正証明のためのチャレンジ期間(通称:7日間の挑戦期間)が設けられるため、Immutable Chainからイーサリアムへの直接出金には約7日を要することになる。
ただし、実運用ではサードパーティのブリッジ事業者が流動性を提供し、短時間で引き出せる代替ルートが用意されるのが一般的だ。公式ドキュメントでは、LayerswapやSquidといった流動性ブリッジが引き続き利用可能と明記されている。長期保有のNFTや大口資産を自前でL1へ戻す際は7日の待機を見込む、日常的な換金や移動は高速ブリッジを使い分ける、といった運用になるだろう。
開発者にとっての朗報は、EVM互換性が維持される点だ。SolidityのスマートコントラクトやERC-20/ERC-721/ERC-1155といった標準規格はそのまま利用でき、既存コントラクトを一から書き直す必要は基本的にない。
OP Stackへの移行によって、インデクサー、RPCプロバイダー、ブロックエクスプローラー、ウォレット連携など、OP Stack周辺のツール群の選択肢が広がる。Gethフォーク独自の運用に合わせたカスタム対応が必要だった部分についても、業界標準の実装を使いやすくなる見通しだ。アカウント・残高・コントラクト・承認・チェーンIDは引き継がれ、ガス用トークンもIMXのままとなる。
Immutableは公式ドキュメント「OP Stack Migration」のなかで、既存コントラクトのマイグレーションパス、ノード運用者・インフラパートナー向けの対応手順、アプリケーション側で確認すべきチェックリストなどを順次公開するとしている。
Immutableが示した大まかなロードマップは次のとおりだ。
・2026年末:既存のゲーム向けテストネット(Immutable zkEVM Testnet)の運用を終了
・2027年第1四半期:パブリックテストネットでのOP Stack移行を実施
・2027年中ごろ:メインネットをOP Stackベース構成へ本番移行
開発者がとくに注意したいのが、2026年末のゲーム用テストネット廃止だ。公式は、ガスが安い本番やローカルチェーンでの検証へ移るよう案内している。インフラ事業者や連携パートナーは移行と試用期間までテストネットへアクセスできるが、ゲーム用途のテストはそれまでに本番またはローカルへ切り替える必要がある。
プレイヤー側は現行メインネットの利用を当面そのまま続けられる。本番移行時はブロック生成が数時間停止する見込みで、日程が確定次第、十分な事前告知を行うとしている。具体的な日程やブリッジ対応の詳細はまだ流動的で、確定情報は今後の公式発表を待つかたちになる。
Immutableのエコシステムトークン「IMX」の位置づけについても関心が集まる。OP Stackベースの構成に移行した後も、IMXは移行後もガス用トークンとして維持され、エコシステム上の位置づけも継続する方向だ。
ただし、ガス支払いの仕組みやステーキング、報酬プログラムの具体的な設計については、テストネット稼働に向けて段階的に詳細が明らかになる見込みだ。IMXホルダーやステーカーは、公式ブログやドキュメントの更新を継続的にチェックしておきたい。
Immutable ChainのOP Stack移行は、Gethのカスタムフォークから業界標準のイーサリアム・ロールアップへと舵を切る大型の意思決定だ。ブロック時間の短縮や周辺ツールの豊富さといった恩恵がある一方、L1出金の約7日というオプティミスティック・ロールアップ特有の制約も伴う。Gods Unchainedなど既存タイトルのプレイヤーは日常のゲーム体験に大きな変化は感じにくい反面、開発者とテストネット運用側は2026年末〜2027年中ごろのスケジュールを織り込んだ計画が必須となる。詳細の確定は今後の公式発表を待つことになる。
Immutable公式ブログ「New Foundations for Immutable Chain」:https://www.immutable.com/blog/new-foundations-for-immutable-chain
Immutable公式サイト:https://www.immutable.com/
X(Immutable):https://x.com/Immutable