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STO(セキュリティ・トークン・オファリング)とは 特徴や事例を見てみる

STO(セキュリティ・トークン・オファリング)とは 特徴や事例を見てみる

2017~2018年にかけて、ICOによる資金調達が世界中で盛んに行われていますが、新たな調達方法としてSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)が注目されています。

先日(2018年10月29日)には、ニュースメディアTechWaveを運営する株式会社テックウェーブが、STO向けの情報サイトBLOCK DATABANK(ブロックデータバンク)をリリースするとの発表もありました。

今回、このSTOについて纏めてみました。

そもそもICO(Initial Coin Offering)って

ICOとはInitial Coin Offering(イニシャル・コイン・オファリング)の略で新たに仮想通貨を市場に公開し資金調達を行う手法です。

従来の方法では、自分たちの会社の株を発行して資金を集める、又は銀行などからお金を借りて資金を調達します。

この方法は信用の低い新しくできた企業などにとっては、金利が高くなったり、十分な株式を買ってもらえなかったりといった問題点が存在します。

ICOはトークンを発行することで、簡単に世界中の人々から出資してもらえるので、株や銀行からの融資におけるデメリットを克服することができます。

ICOの問題点

ICOは簡単に資金調達をできる資金調達法ですが、その簡単さから実態のないプロジェクトを打ち出してお金を集める詐欺行為や、規制が十分に整備されていない事から、さまざまな問題が発生しています。

ICO過去の詐欺事件

ピンコイン(Pincoin)、アイファン(Ifan)

ベトナムでICOを行い、707億円相当の詐欺をしたのではないかという事件が発生しています。

このプロジェクトには推定3万2000人程の投資家が参加。

6憶6,000万ドル(約707億円)相当の投資をされたと言われています。

この2つのプロジェクトは「ドバイ」と「シンガポール」に拠点を置いているスタートアップ企業が運営をしています。

またピンコインに関しては詐欺コインではないかと疑われており、一部の投資家にとっては注意されていた仮想通貨でもありました。

ICOは、その情報開示や販売・広告手法等に特に制限がなく、往来の資金調達手段に比べて利便性が高いということで評価を受けていました。

しかし、ピンコイン(Pincoin)、アイファン(Ifan)の事例もあるように、実際にはこのメリットを悪用して詐欺を働くICO案件が存在しています。

また明確に詐欺と断定はされなくても、情報開示が不十分であったり、いわゆる相場操縦的な手法での価格だけ釣り上がる、いつまで経ってもプロジェクトが進まないなど「怪しい」プロジェクトもあり、ICOという手法自体が信頼を失っている点も見受けられます。

ユーティリティートークン(Utility Token)

トークンには大きく分けて2つのタイプに区分することができます。

一つがセキュリティトークン(Security Token)、もう一つがユーティリティトークン(Utility Token)です。

Utility(ユーティリティ)は、日本語にすると「有用性・実用性」と訳すことができ、あるサービスやシステムを使う目的で使われるトークンを指します。

例えば、「分散型のクラウドストレージ」のプロジェクトがICOをしたとします。

トークンを購入した場合、ユーザーとしてこのクラウドストレージにアクセスできる権利が付与されるケースなどです。

イーサリアムも、スマートコントラクトを動かすために払われるGAS(手数料)の支払い通貨として使われるので、ユーティリティトークンと見なすことができます。

現在、殆どの仮想通貨はユーティリティトークンとして取り扱われています。

SECなどは、一部の仮想通貨はセキュリティトークンではないかという見解も示していますが、明確にセキュリティートークンと定めてはいません。

STO(Security Token Offering)とは

STOとはSecurity Token Offering(セキュリティトークンオファリング)の略で、証券(Security)とトークンを発行することにより資金調達する方法です。

つまりSTOは、投資用のトークンを発行し資金調達をする手法で、各規制機関にルールに従って投資商品として発行してしまおうというのがSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)になります。

ICOでは利便性が高いというメリットがあるのに対し、規制が緩いため詐欺行為が多く見られます。

このような背景から、最近STOという手法が提唱され、アメリカを中心に事例が出てきています。

セキュリティトークン(Security Token)

STOはセキュリティトークン(Security Token)を発行して資金調達を行います。

セキュリティトークンは日本語に訳すと「証券」。

即ち証券としての性質を持ったトークンで、法定通貨などで価値を裏付けられていたり、その交換や投資が目的となったトークンで金融商品とみなされます。

一般的に流通している株券や債券と同じ性質を持つので、適時開示をするなど投資家保護の観点で規制をかけることができるのです。

セキュリティトークン(Security Token)と見なす基準

セキュリティトークンとみなす基準として、ハウイテスト(Howye test)と呼ばれるものがあります。

・ユーザーがお金を「投資」している
・ユーザーがその投資からの収益を見込んでいる
・投資先が共同事業である
・収益の成長が第三者によって生み出される

これに該当するものは、セキュリティトークン(金融商品)と判断されるのです。

STOのメリット

詐欺行為が減少する

STOはセキュリティートークンの特性である「SECなどの機関による規制に準拠したトークン」を発行して資金調達を行います。

つまりSTO(資金調達)を行うには、SECなどの厳しい審査を受けることになります。

これにより、厳しい審査を通過したプロジェクトのみがSTOを行なってセキュリティトークンを発行することができるため、詐欺プロジェクトが発生するリスクが減少することになります。

規制をかけられることで、ICOで問題視されていた点が改善できます。

機関投資家が参入

ICOでは個人の投資家が中心で行われていますが、STOでは証券としての性質がクリアになるので、一般企業や機関投資家の参入が期待できます。

STOのデメリット

個人投資家の減少

SECなどの規制管理に置かれることで、ICOの自由な側面がなくなることになります。

SECでは特定以上の年収、資産を持つ個人・法人のみが投資できるといった規制があるため、このような規制がSTOに適用されると投資できる人が限定的になってきます。

運営側は負担増

規制基準を満たさなければ行えないので、手続きや資格要件、内部統制や監査などコンプライアンス周りの体制構築、KYC(本人確認)、投資家への情報開示等、運営者の負荷はICOより掛かります。

STOに関する事例

海外

SPIN

【SPIN】
https://www.spin.pm/

電動スクーターシェアリング事業を展開する企業。
創業は 2016 年、サンフランシスコに拠点を置く。
全米 19 都市でサービスを展開中。

2018 年 7 月に、セキュリティ・トークン・オファリング(STO)で 1.25 億ドル (約 138 億円)を調達見込み。

tZERO

【tZERO】

1999年創業にNASDAQに上場しているネット通販会社オーバーストックの子会社。

2014年にオーバーストックに買収されtZEROに名前を変更。

2017年11月にSecurity token offeringを発表。
2017年12月からセールをスタート。

10月16日、OVERSTOCKのtZEROが、tZEROセキュリティトークンの発行を完了したと発表がありました。

国内

AnyPay 株式会社

【AnyPay 株式会社】

https://www.anypay-sg.com/services/jp.html
2018年8月10日、AnyPay 株式会社が2018 年中に、収益分配型トークン発行シ ステムをリリースすることを発表。

AnyPay社はコンサルティング事業を通して、これまでに「数社」の企業を相手にICO実施のサポートをおこなう。

そのなかには、STOによって合計約1800万ドルを調達した企業もあるそうです。

今回提供されるシステムでは「トークン発行機能、STOを実施したあとの配当配布やIRを円滑に進めるためのツール」が利用可能になるそうです。

さいごに

STOはトークンを規制に基づいた金融商品として発行することで、、多発する詐欺行為を抑えることができます。

一方、STOはICOに比べ自由度が少なく、また参加できる投資家が限られているという点もあります。

現状まだ未確定な要素も多々ありますが、新しい資金調達法として注目されています。

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