UbisoftがWeb3タクティカルRPG「Champions Tactics: Grimoria Chronicles」のサーバーを2025年10月30日に停止すると発表。5月27日のウォレット凍結を経て段階的にブロックチェーン機能を縮小してきた同作の顛末と、大手パブリッシャーによるNFTゲーム挑戦が示した教訓を掘り下げる。
フランスの大手ゲームパブリッシャーUbisoft(本社:フランス、以下、Ubisoft)が、自社初の本格Web3タイトルとして展開してきたタクティカルRPG「Champions Tactics: Grimoria Chronicles」のサーバーを2026年10月30日に停止すると発表した。2026年5月27日のウォレット連携凍結を皮切りにブロックチェーン機能を段階的に取り外してきたなかでの、事実上のプロジェクト終了となる。大手IPによるWeb3ゲーム実験の代表例として注目されてきたタイトルだけに、業界に投げかける影響は大きい。
Ubisoftは、Web3対応のPvPタクティカルRPG「Champions Tactics: Grimoria Chronicles」について、2026年10月30日をもってサーバーを停止すると公表した。ローンチから約1年余りでの幕引きとなる。
同作は2024年10月にPC向けに正式リリースされ、Ubisoftとして初めて本格的にNFTを組み込んだタイトルとして話題を集めた。プレイヤーは「Champions」と呼ばれるNFTキャラクターを購入・収集し、3体1組の編成でPvPバトルに挑む形式だ。Ubisoftというトリプルエイクラスの開発力とWeb3を掛け合わせた実験として、リリース前から国内外で強い注目を浴びていた。
しかし、正式サービス開始後はアクティブユーザー数が伸び悩み、NFT市場での取引も低迷。数カ月のあいだにディスコードコミュニティの熱量が急速に冷え込んでいったと海外メディアは伝えている。
サーバー停止に至る過程では、ブロックチェーン機能から順に切り離していく動きが続いていた。
Ubisoftは今年5月、ゲーム内でのウォレット接続機能を停止し、NFTと連動する取引や資産の移動をゲーム側から遮断した。この時点でプレイヤーは所持するChampions NFTを外部マーケットプレイスでのみ取り扱う形となり、ゲームプレイとオンチェーン資産の結びつきは事実上失われた。
続いて、ゲーム内マーケットプレイス機能も順次縮小され、新規NFTの発行も止められている。プレイヤーコミュニティからは「Web3ゲームとしての価値がなくなった状態で、通常のゲームとしても続かなかった」との声があがっていた。
10月30日以降はサーバー自体が停止するため、オンラインPvPを主軸とする本作は実質的にプレイ不可能となる。購入済みのNFTは技術的にウォレット内に残るものの、対応ゲームが消えた「アート資産」としての性格が強まる見通しだ。
Champions Tacticsの顛末は、大手パブリッシャーがWeb3タイトルを継続運営することの難しさを改めて浮き彫りにしている。
Ubisoftは「Assassin's Creed」「Far Cry」「Rainbow Six」など世界的なIPを多数抱える大手だ。にもかかわらず、Champions Tacticsは既存のUbisoftファンからもWeb3ネイティブユーザーからも十分な支持を得られなかった。既存プレイヤー層には「NFTを買ってから遊ぶ」というハードルが敬遠され、Web3ユーザー層には「トークン報酬もなく、投機性が薄い」ゲームデザインが刺さらなかった構図だ。
さらに、リリース時期はNFT市場全体が冷え込んでいたタイミングと重なった。Champions NFTのフロア価格は発売直後から下落を続け、二次流通市場での取引高も低迷。プレイヤーにとって「資産としての魅力」を維持できなかった点は、他の失敗事例と共通する。
Web3ゲームは「ゲームとして面白いこと」と「経済圏として持続すること」の両立が求められるが、その両立の難しさをUbisoftほどの体力を持つ企業ですら乗り越えられなかった、というのが今回の結末だ。
一方で、UbisoftはWeb3領域から完全撤退するわけではない。2026年2月にはImmutableと共同開発したトレーディングカードゲーム「Might & Magic Fates」をグローバルリリースしており、次のWeb3ケーススタディを走らせている。
Might & Magic FatesはiOS・Android・PCのクロスプラットフォーム対応で、カード取引はImmutableのマーケットプレイスを介して行う。UbisoftはNFT取引を「オプションのレイヤー」と位置付け、ゲームプレイの公平性を担保する設計を選んだ。Champions Tacticsで「NFTありき」の構造が受け入れられなかった反省が、明確に反映された形と読める。
Champions Tacticsは終わるが、Ubisoftの中で得られた知見は次のタイトルへと引き継がれている。大手パブリッシャーがWeb3にどう向き合っていくかを占ううえでも、この転換は重要な意味を持つ。
Champions Tacticsのサービス終了は、単なる1タイトルのクローズを超えて、「NFTを前提としたゲームを大衆に売る」ことの難しさを象徴する事例となった。IPの強さや開発力だけでは埋められない、ユーザー体験と経済設計の溝が、いまも業界の大きな課題として残っている。ただし、Ubisoftは撤退ではなく「設計の見直し」を選び、Might & Magic Fatesで再チャレンジしている。失敗の教訓をどう次に活かすか——Web3ゲームの本当の勝負はここから始まる。
Ubisoft公式サイト:https://www.ubisoft.com/
Champions Tactics 公式サイト:https://champions-tactics.ubisoft.com/
eGamers.io 記事:https://egamers.io/ubisoft-pulls-the-plug-on-champions-tactics-as-servers-go-dark-october-30/
「Champions Tactics™: グリモリア・クロニクルズ」は、ターン制の戦略バトルゲームです。プレイヤーは強力なチャンピオンたちを集め、チームを編成して対戦相手と戦います。戦略的な意思決定とチーム編成が重要で、プレイヤーは異なる能力を持つチャンピオンたちをうまく組み合わせて、勝利を目指します。NFTを用いた独自のチャンピオンが登場し、バトルに投入することが可能です。
◾️ゲーム内容
PvPバトルとチャンピオンの育成。プレイヤーは様々な属性やスキルを持つチャンピオンたちを集め、チームを作り上げ、他のプレイヤーと戦います。また、バトルだけでなく、チャンピオンの成長や進化、そして特定の戦略に基づいたデッキ編成も重要な要素となります。
◾️特徴
ターン制バトル: 戦略的なターン制バトルシステムを採用しており、プレイヤーは適切なタイミングでスキルを発動し、敵を撃破する必要があります。
NFTコレクション: 各チャンピオンはNFTとして存在し、プレイヤーはこれらをコレクションしたり、取引したりすることができます。
PvP要素: 他のプレイヤーとの対戦が主なゲームプレイとなり、ランキングやトーナメントなど、競争要素が充実しています。
成長システム: チャンピオンたちは経験値を獲得し、レベルアップや進化が可能です。これにより、戦術の幅が広がります。
◾️基本情報
ゲームタイトル: Champions Tactics™: グリモリア・クロニクルズ
ジャンル: 戦略バトル、ターン制ストラテジー
対応機種: PC
開発状況 : 2024/10/23
P2E (プレイ・トゥ・アーン): 対応。
ブロックチェーン: HOME Verse(OasysL2チェーン)
NFT: ゲーム内のチャンピオンはNFTとして存在し、独自のスキルや外見を持つ。
提供元/開発元: Ubisoft Entertainment