Paradigm主導で約4,600万ドルを調達したブロックチェーンゲーム「Wildcard」が、2026年3月のTGE後に時価総額わずか110万ドルで着地。コミュニティから「ソフトラグプル」との批判が噴出した。調達額と市場評価の極端な乖離から見える業界構造問題と、投資家・プレイヤーが押さえるべきリスクを解説する。
ブロックチェーンゲーム「Wildcard」を開発するPlayful Studios(本社:米国、創業者:Paul Bettner)が、2026年3月にArbitrumチェーン上でWCトークンの一般取引(TGE)を開始した。データプラットフォームRootDataによれば、WildcardはParadigm主導で約4,600万ドルの資金調達を完了していた。しかしTGE後のWCトークン時価総額はピーク時でもわずか約110万ドルにとどまり、コミュニティからは「ソフトラグプル(実質的な資金持ち逃げ)」ではないかとの批判が広がっている。調達額と市場価値の極端な乖離は、ブロックチェーンゲーム業界全体の構造的問題を改めて浮き彫りにした。
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出典 : www.coingecko.com |
Wildcardは、創業者Paul Bettner氏が「Words With Friends」や「Lucky's Tale」といったヒットタイトルの開発経験を持つことで注目を集めたプロジェクトだ。Paradigmというトップティアの暗号資産ファンドがリードした調達ラウンドは約4,600万ドルに上り、ICO Dropsのデータでは累計約5,250万ドルとの記録もある。
WCトークンは2025年3月にBaseチェーン上でNFTホルダー向けに初回エアドロップされ、2026年3月26日にArbitrumチェーンのWC/USDCペアで一般取引が始まった。しかし取引開始後のWCトークン時価総額は約110万ドルで頭打ちとなり、CoinGeckoのデータではその後も下落が続いている。4月時点の価格は約0.002ドル前後で、24時間取引高がわずか数十ドルという日もあり、流動性がほぼ枯渇した状態にある。
調達額に対して市場評価が0.02%にも満たないという異常な乖離は、投資家の期待とトークン市場の実態がまったく噛み合っていなかったことを示している。
コミュニティが「ソフトラグプル」と呼ぶのは、意図的な詐欺を意味するわけではない。しかし外から見ると、巨額を調達してトークンを発行し、市場で価値がつかないまま放置される構造は、結果的にラグプルと見分けがつかないという指摘だ。
Wildcardの場合、WCトークンはエアドロップ後に「Airlock」と称するロック期間が設けられ、一般取引の開始まで約1年間にわたり売買ができなかった。総供給量8,889万トークンのうち20%がNFTホルダーへ配布されたが、ロック解除と同時に売り圧力が集中し、流動性を吸収しきれなかった可能性が高い。
VC主導の大規模調達はプロジェクトの「信頼の証」として機能してきたが、Wildcardのケースはその図式に亀裂を入れた。トップティアVCが出資していても、トークンの市場価値はゲームのプレイヤー需要やエコシステムの実需とは別の力学で決まる。投資家がプロジェクトに投じた金額と、トークン市場で形成される価格はまったく別物であるという事実を、Wildcardは極端なかたちで証明してみせた。
Wildcardの問題は孤立した事例ではなく、2025年を通じてブロックチェーンゲーム業界で大型プロジェクトの閉鎖が相次いでいる。
NFTランド販売で約2億300万ドルを集めたEthereum系タイトル「Ember Sword」は2025年5月に資金不足を理由に閉鎖を発表した。Solana上で展開されたシューティングゲーム「Nyan Heroes」は25万人以上のPCウィッシュリスト登録を集めながらも同月に運営を停止し、NYANトークンはピークから99%以上暴落した。3,300万ドルを調達したフルオンチェーンRPG「Pirate Nation」は2025年8月に30日以内の閉鎖を宣告し、PIRATEトークンは数日で92%の下落を記録している。
スクウェア・エニックスが手がけた「Symbiogenesis」、Gala Gamesがライセンス提供した『ウォーキング・デッド』のMMORPG、NFTメカ対戦ゲーム「MetalCore」なども相次いで終了した。MetalCoreの開発元はブロックチェーンとの接点を完全に切り、Steamでの新作開発に方針転換している。
Blockchain Game Alliance(BGA)が発表した2025年の業界レポートによると、ブロックチェーンゲームへの年間投資額は約2億9,300万ドルにまで縮小した。2021年の約40億ドル、2022年のピーク約100億ドルと比較すると、実に97%の減少だ。DWF Labsは現在の状況を「必要なリセット」と表現している。
BGAの調査で回答者の36%が業界最大の脅威として「詐欺・不正行為・ラグプル」を挙げた点は見逃せない。大半のプロジェクト閉鎖は意図的な詐欺ではないにせよ、「資金調達→トークン発行→閉鎖」のサイクルが繰り返されるたびに、業界全体の信頼が削られている。
多くのブロックチェーンゲームが失敗した構造的な原因は明快だ。トークンとNFTを軸にした投資家向けの資本構造が、プレイヤーの需要を検証する前に組み上がってしまう。資金を出した人と、ゲームを長く遊び続ける必要がある人が、最初から一致していない。
農業シミュレーション「Moonfrost」の事例がわかりやすい。開発元Oxalis Gamesは600万ドルを調達し、1年以上にわたって「Play-to-Airdrop」キャンペーンを実施。NFTボックスを1,833個(1個150ドル)販売した後、2025年11月にWeb3からの撤退を発表した。新たにSteamで有料PC向けゲームとして再出発し、NFTもトークンもブロックチェーン要素も一切排除する方針を打ち出している。
CEOのRic Moore氏は撤退発表のわずか前日まで「スローで意味のあるWeb3ゲームの作り方」を公に語っていた。チームの説明は端的だった——「Web3プレイヤーは稼ぎたい。Web2プレイヤーは良いゲームを遊びたい」。3年と数百万ドルを費やし、ようやくたどり着いた結論だった。
ブロックチェーンゲームの物語が崩壊したからといって、暗号資産業界のコンシューマー向けアプリケーションが終わるわけではない。BGAレポートでは業界関係者の65.8%が今後12カ月について楽観的と回答しており、根拠として挙げられたのは「出荷可能なプロダクトと持続可能な収益モデル」だった。
回答者の4分の1以上がステーブルコインを業界の成功に不可欠と見ている。乱高下するゲームトークンに比べ、ステーブルコインは新規ユーザーにも理解しやすく、大会賞金やゲーム内報酬、越境決済などへの活用が広がりつつある。
AI技術もコスト構造を変え始めている。Mighty Bear GamesのSimon Davis氏は、AI中心のチームが従来のスタジオのわずかなコストと人員で同等以上のアウトプットを出していると指摘した。Animoca Brandsは2026年に向けた持続可能性の鍵がAI駆動またはAI支援の開発手法にあると見ており、高品質なゲームコンテンツ制作の経済モデルそのものが根本から変わると予測している。
Wildcardのケースから導き出せる教訓を、3つのチェックポイントとして整理したい。
まず、「調達額=プロジェクトの価値」ではないという前提だ。VCが投じた資金はバリュエーションの根拠にはなるが、トークンの流通市場で同じ価格がつく保証はどこにもない。特に流動性が薄いDEXでの取引開始は、調達額との乖離が極端になりやすい。
次に、トークンのロック解除スケジュールと売り圧力の関係を事前に把握すべきだ。Wildcardでは「Airlock」と名付けられたロック機構が売り圧を一時的に抑えていたが、解除と同時に市場が吸収しきれなかった。ロック解除後の流通量と既存の流動性プールの規模を照らし合わせることは、最低限のリスク管理になる。
最後に、ゲームそのもののリテンション(継続率)を確認することだ。Animoca BrandsのRobby Yung CEOやPLAY NetworkのChristina Macedo CEOが強調するように、D1(1日後)35〜45%、D7(7日後)15〜25%、D30(30日後)5〜10%というモバイルゲームの基本指標に達していないWeb3ゲームがほとんどだという。ゲームとして成立していなければ、トークンもNFTも長期的な価値を保てない。
Wildcardの一件は、ブロックチェーンゲーム業界の「調達額の大きさ=安心材料」という通念に冷や水を浴びせた。Paradigmという最高峰のVCがリードしても、トークンの市場価格は実需に基づくプレイヤーエコノミーが伴わなければ形成されない。調達額を鵜呑みにせず、ゲームのリテンション率、トークン設計の持続性、ロック解除後の流動性といったファンダメンタルズを自分の目で確かめることが、Web3ゲーム投資におけるリスク回避の基本となるだろう。一方で、ステーブルコインやAIがもたらすコスト構造の変革は着実に進んでおり、「ブロックチェーンを見えない裏方に徹させる」という新しい設計思想が定着すれば、業界が再び健全な成長軌道を取り戻す余地は残されている。
Odaily(元記事):https://www.odaily.news/zh-CN/post/5210048
Wildcard公式サイト:https://www.playwildcard.com/
Wildpaper 2.0:https://wildpaper.playwildcard.com/
CoinGecko(WCトークン):https://www.coingecko.com/en/coins/wildcard
Blockchain Game Alliance(BGA):https://www.blockchaingamealliance.org/
Wildcardは、アクションゲームとカードゲームの要素を融合させたオンライン対戦ゲームです。プレイヤーは「チャンピオン」と呼ばれるキャラクターを操作しながら、デッキにセットしたカードを使用してクリーチャーの召喚やスキル発動を行い、リアルタイムのアリーナバトルに挑みます。
ゲームでは、プレイヤーの操作によるアクション要素と、カードを使った戦略的なデッキ構築の両方が重要になります。バトルはスピーディーに進行し、プレイヤーは状況に応じてカードを使い分けながら戦います。
また、ゲーム内のカードやアイテムはデジタル資産として扱われ、Web3技術を活用したゲーム内経済も導入されています。Wildcardは、アクションとカード戦略を組み合わせた新しいタイプの対戦ゲームとして開発されています。
・アクション+カードゲームの融合
リアルタイム操作とカード戦略を組み合わせた独自のゲームプレイ。
・PvPアリーナバトル
他プレイヤーと対戦するオンラインバトル。
・デッキ構築システム
カードを組み合わせて戦略的なデッキを作成。
・チャンピオンキャラクター
プレイヤーが操作するヒーローキャラクター。
・デジタル資産
カードやゲーム内アイテムをデジタル資産として所有可能。
◾️Basic Information
Game Title: Wildcard
Genre: Action / Card Battle / PvP
Compatibility: PC
Price: 基本プレイ無料(予定)
Development Status: 開発中
P2E: 対応予定
Blockchain: Polygon
Tokens: 未公開
NFT: カードNFT、キャラクターNFTなど
Provider/Developer: Playful Studios
Whitepaper URL: 未公開
https://www.wildcardgame.com/