2018年10月14日~19日、FATFが主催する「FATF WEEK」が開かれました。
今回の総会では、来年6月までにマネーロンダリング対策を踏まえ、仮想通貨規制ルールを策定するというものです。
現在、仮想通貨に関して「国際的な基準」を決めようという動きが、進められている最中です。
この「基準」を決める機関として、FATFが大きく関わっているので、どのような機関なのか少し触れてみましょう。
FATFとは1989年に設立された政府間機関です。
日本語では「金融活動作業部会」とも言わており「ファトフ」と呼びます。
設立された当初は、麻薬犯罪に関するマネーロンダリング(資金洗浄防止)対策を主な目的としていましたが、アメリカ同時多発テロ事件以降、テロ組織への資金供与に関する国際的な推進にも取り組んでいます。
・マネーロンダリング対策
・テロ資金対策
1990年に資金洗浄に関する「FATF40の勧告」を提言
2001年にテロ資金対策に関する「8つの特別勧告」を提言
2004年、一つ追加して「9つの特別勧告」を提言
2012年、勧告が改訂し40の勧告と9つの特別勧告が統合
2000年からは非協力的な国、地域に対し「非協力国」と指定また公表し、是正処置を求めています。
【ブラックリスト】
・北朝鮮・エクアドル・エチオピア・インドネシア・イラン
・ケニア・ミャンマー・パキスタン・サントメプリンシペ
・シリア・タンザニア・トルコ・ベトナム・イエメン
【モニタリングリスト】
・アフガニスタン・アルバニア・アルジェリア・アンゴラ
・アンティグアバーブーダ・アルゼンチン・カンボジア
・バングラデッシュ・キューバ・クゥエート・キルギス
・ラオス・モンゴル・モロッコ・ナミビア・ネパール・ニカラグア
・ナイジェリア・スーダン・タジキスタン・ジンバブエ
日本もFATFに加盟しており、国内でマイナンバー制度が導入された理由も、FATFの基準を満たす必要があったためです。
(日本は2008年に行われた第3次対日相互審査では多くの指摘を受ける)
マネーロンダリング(資金洗浄)とは、犯罪(麻薬取引、脱税、粉飾決済など)によって手に入れた資金を、架空の取引を何度も繰り返し出先を分からないようにして、正当な手段で得た資金として見せかけ、身元がばれないようにする行為のことです。
仮想通貨はその特性(匿名性や国境を越えて送金ができるなど)からマネーロンダリングに悪用されることが多く、対策を余儀なくされています。
国内だけでも・・・
・マウントゴックス事件(当時:約115憶円)
・コインチェック不正流出事件(当時:約580憶円)
・Zaif不正流出事件(当時:約70憶円)
仮想通貨はその特性からマネーロンダリングやテロ資金供与として悪用される事例が挙げられ、FATFも仮想通貨に関して対策を強いられる状況となります。
2014年に起きたマウントゴックス事件なども踏まえ、国際的にも仮想通貨に対する関心が強くなります。
2015年6月のG7首脳会議では、「テロ及びその資金調達との闘い」とされる項目に「仮想通貨及びその他の新たな支払手段の適切な規制を含め、全ての金融の流れの透明性拡大を確保するために更なる行動をとる」と記載された文章が確認できます 。
またFATFは、2015年に「仮想通貨と法定通貨を交換する交換所に対し登録・免許制を課すべき」との指針を公表しています。
2018年3月に行われたG20(20か国財務相・中央銀行総裁会議)では、FATFによるこれらの基準の見直しに期待し、FATFに対し世界的な実施の推進を要請すると公表。
7月のG20(20か国財務相・中央銀行総裁会議)は、FATFに対して仮想通貨の国際基準をどのように適用するのかを10月に明確することを要請しました。
FATFは、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ対策などのため、世界中の規制当局にライセンス発行を求める方針です。
ライセンスの対象となるのは仮想通貨取引所や暗号ウォレット提供者の他、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)の発行者。
各国の規制状況に関しては「定期的に調査」し、不十分な国はFATFのブラックリストに追加。世界の金融システムへのアクセス権を制限するとも言われています。
来年2019年には、第4次対日相互審査が行われる予定です。