Sushiの流れを追う前に、重要な登場人物が2名。
Chef Nomi (SushiSwap開発者)
https://twitter.com/NomiChef
SBF(海外取引所FTXのCEO、通称アフロ)
https://twitter.com/SBF_Alameda
Sushiの配布は8月29日から始まりました。流動性を提供して報酬を得るモデルが様々出ていた中で登場したオフザケ系プロジェクト(見た目はふざけているが、中身や実際の動きがふざけていないプロジェクトも多いですが。)だと認識されている雰囲気でした。
「おふざけだし監査もされていないから触らないでおこう」という方も多かったです。
実際、Sushiが登場して価格は一時的に上がりましたが、すぐにSushi職人が増えてSushiの投げ売りが始まり価格は一気に落ちました。
Sushiを握るためには、UniswapやSushiSwapでトランザクションを発行します。このときは初動で参加者も少なかったので、gas代高騰はほどほど。
DeFiのプロジェクトを評価する際に、どれだけの資金がロックされているか=TLVが一つの指標になります。
SushiSwapのTLVは8月30日には400Mドルを突破。
UniSwapでの取引高もどんどん伸びてきます。
このあたりから、SushiSwapと同じコピー品が生まれてきてすぐに腐っていきます。
「Sushiもナマモノだから賞味期限短いよねwww」
なんて思っている方がほとんどだったと思います。
大きな局面はFTXとBainanceへの上場。9月1日のことでした。スピード感が異常ですね。
これによって現物取引のほか、先物取引ができるようになったためマネーゲーム感が加速します。ピーク時には12ドルを超えました。SushiをヘッジしながらSushiを握る職人も生まれましたね。
FTXのCEOアフロがえらくSushiを気に入っているようで、彼のツイートでもSushiの文字を度々見かけました。
Quantstampの監査が通り、バグや悪意のあるコードはないことがわかり、価格は一旦上昇するも、その後徐々に下落。Sushiの価格を維持できる生産速度じゃないですからね。
9月5日、ビットコイン下落の影響を受けて価格が下がっている中、下落に拍車をかけたのが、開発者Chef NomiのSushi売却発覚。
▼Nomiのツイートがコチラ
I did the recent move because I care about the community. I'm taking IL for you. But all I received was blaming and FUDing.
— Chef Nomi #SushiSwap (@NomiChef) September 5, 2020
Here's what happened. The devshare part of me. I converted them to $ETH. I stop caring about price and I will focus on the technicality of the migration.
Nomiが価格下落前にSushiを売却していたことが発覚し、Sushiコミュニティから非難を浴びました。開発者が売却したわけですから、「Sushiもscamだったのでは!?」「もう開発が止まるのでは!?」などの憶測が飛び交い、Sushiの価格がどんどん落ちていきます。
Sushi職人がSushiを売却するためには、握るのと逆の手順を踏む必要があります。
① SushiSwapに預けている、Sushi/ETHの預け証@Uniswapを回収
② Uniswapに預けているSushi/ETHプールを回収
③ Sushiを売却
ここでもトランザクションが大量に発行され、Sushi解体の渋滞が発生します。早く売りたいのでトランザクションを通すためにgas代を惜しみませんから、gas代もガンガン上がります。
価格が落ちきって、「これでgas代も少しは安くなるだろう」と思ったのも束の間。
9月6日、FTXのCEOがSushiSwap救世主になりうるツイートを発信。
1) thoughts on Sushi:
— SBF (@SBF_Alameda) September 6, 2020
First of all, @NomiChef sucks. He hurt his project, his future potential, and his followers.
Note that this does _not_ extent to other members of the Sushi community or leadership.
これを受けてSushiが復活します。
Sushi職人も復活し、UniswapのプールにSushiが戻ってきました。
Sushiは腐りませんでしたが、狂乱は一旦落ち着き、gas代も久しぶりの2桁に戻りました。
一連の騒動をチャートに記載するとこんな感じです。
激動のSushiの動きをまとめました。
ブロックチェーンゲーマーとしては、こうしたDeFiがETH本来の用途のひとつだとは認めつつも、gas代高騰はゲームインフラが破綻してしまうのでなかなか受け入れがたいところです。
Sushiはアフロによる救済によりまだまだ動いていますが、一旦落ち着いたgas代がそのままキープされていってくれるとありがたいですね。
9月9日には、UniswapからSushiSwapへ流動性を移管する「Migration」が行われました。今後、SushiSwapがどう動いていくのか、また大きな動きがあったら紹介したいと思います。
最後になりますが、Sushi自体の値動きは極めて大きく、特定人物の発言一つで価格が乱高下するようなトークンです。勉強のためと割り切って高いgas代を払いながら握ってみるのはありかもしれませんが、トレードはハイリスクです。買うものじゃないと思ってください。握って売るものです。