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【SFBW2019セッションレポート】開発者とプレイヤーは同列。ブロックチェーンゲームは巨大なセカンダリーマーケットを作り出す

【SFBW2019セッションレポート】開発者とプレイヤーは同列。ブロックチェーンゲームは巨大なセカンダリーマーケットを作り出す
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サンフランシスコで開催された「SF Blockchain Week 2019」のメインイベントEpicenterより、ブロックチェーンゲームに関するセッション「How Blockchain Benefits the Games of Today」のレポートをお届けします。スピーカーはForteのVP of Productを務めるMJ Irwin氏です。

ブロックチェーンゲームの開発環境が急速に整い始めている

まずはじめに、本セッションを担当したForteについて紹介しておきます。
Forteは、ブロックチェーンゲーム開発者のためのプラットフォームです。
一般的なゲームと比べてブロックチェーンゲームは開発が難しく、特にデプロイが大変だといえます。
Forteは、誰もが簡単にブロックチェーンゲームを開発できるよう多様なSDKを提供しています。
また、EthereumではなくILP(Inter-Ledger Protocol)を活用したNon-Fungible Tokenが発行できる点も特徴的です。

2019年3月にはRipple社と共同で、ブロックチェーンゲームの開発を促進することを目的とした、約110億円のファンドを設立しています。

ゲームはブロックチェーンをマスへと導く

Forteでプロダクト責任者を務めるIrwin氏は、セッションの冒頭で「ブロックチェーンのマスアダプションにはゲームが必要である」と力強く述べました。
「ブロックチェーンに限らず、3Dグラフィックやスマートフォンといった新興産業が普及してきた過程には、常にゲームの存在があった」といいます。

ブロックチェーンの場合、デジタル資産の所有権を個人に帰属させることがユーザーエンゲージメントを高めると考えられます。
Irwin氏によると、このユーザーエンゲージメントこそが、ブロックチェーンをマスに広げるためのキーワードであるということです。

また、Irwin氏が注目するブロックチェーンゲームの可能性として、「Gray Market」という表現を用いてセカンダリーマーケットについても言及しました。
ブロックチェーンを活用することで、ゲーム市場に巨大で透明性のあるセカンダリーマーケットを作り出すことができます。
セカンダリーマーケットで最も注目すべきは、「異なるゲームのプレイヤー同士が集まって強力なパーティーを形成できる点にある」とIrwin氏は話します。

Irwin氏は、「ブロックチェーンによって統一された企画の上に存在するゲーム同士であれば、異なるゲームであったとしてもデータやプレイ記録を共有することができる」といいます。
その結果、「プレイヤーごとの特性や嗜好を可視化することができ、パーティーを組んだ際に最適なバランスを取ることができるようになる」Irwin氏は説明しました。

エコノミーとしてのゲーム設計が求められる

セッションの終盤では、ブロックチェーンゲームを開発する際の重要なポイントについて言及しました。

Irwin氏は、「ブロックチェーンゲームはプレイヤーのエンゲージメントを高めることができる一方、設計に失敗すると簡単に体験を損ねてしまう。そのため、開発者はゲームをブロックチェーンで管理することの重要性を深く考えなければならない」と述べました。

ポイントは、「プレイヤーの行動に対する報酬の設計にある」とIrwin氏いいます。
プレイヤーは、ゲーム内外でボランティアのような活動を数多く行なっています。
例えば、始めたばかりのプレイヤーにチャットで遊び方を説明したり、ギルドを運営したり、FAQを更新したりといった行動があげられるでしょう。
これらの行動に対してどれほどの報酬を付与するか、もしくは付与しないのか、そういった設計が重要になるのです。

Irwin氏は、この報酬設計が重要になる理由として「これからのゲームはMMO型がさらに加速していくため」と説明しました。
Irwin氏は、この点について詳しく触れませんでしたが、MMO型の加速はブロックチェーンゲームに限らないため、どのゲームも設計を重要視していると考えられます。
ここで差別化する際に強力な武器となるのが、ブロックチェーンなのです。
Irwin氏が述べたように、ブロックチェーンを活用することで異なるゲーム間でデータやプレイ記録を共有することができます。
この特徴は、MMO型が加速するゲーム市場においては、非常に大きな強みになるといえます。

最後に、Irwin氏はこれを「Community MMO」と表現し、「ゲームエコノミーにどれだけ参加者を増やすことができるかが肝になる」と述べています。
そのためには、「プレイヤーも開発者も同列としてエコノミーに参加することが重要になる」と述べ、本セッションを締め括りました。

ブロックチェーンゲームの盛り上がりと著者の考察

今回のSF Blockchain Weekでは、160以上のセッションが組まれています。
その中で、直接ゲームに関する内容を取り上げたセッションは本セッションのみでした。
Cryptokittiesによって産声をあげたブロックチェーンゲームの熱は、世界的には少し落ち着いたように感じます。
日本で今なおブロックチェーンゲームが盛り上がりをみせているのは、元々ソーシャルゲーム大国であったことが要因の一つとしてあげられるのではないでしょうか。

しかしながら、Irwin氏のいうようにブロックチェーンがマスへと広がるには、ゲームによる発展が非常に重要であることに異論はありません。
日本で熱狂的な盛り上がりをみせるブロックチェーンゲームが、どのように世界で注目を集めるのか、今後の展開が楽しみです。

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著者について

株式会社techtec

「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンの学習サービス「PoL(ポル)」を運営。世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業にも注力する 日本発のブロックチェーンリーディングカンパニー

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