2017年4月に資金決済法により交換業者に登録制を導入しましたが、取引については明確な規制はありませんでした。
5月31日、暗号資産(仮想通貨)に関する規制について資金決済法と金融商品取引法が本会議で可決・成立され2020年までに執行する見通しとなっています。
今回の法案成立について内容を纏めてみました。
今回の法案成立について内容を纏めてみました。
仮想通貨の呼称を法令上「暗号資産」へと変更になります。
「通貨」という呼称は、円やドルなどの法定通貨と同様な資産と誤認されやすい、またG20の会議ではすでに暗号資産の呼び方が一般的になっていることが理由とされています。
ハッキングにおいて交換業者が顧客から預かる暗号資産のうち、ホットウォレット(ホットウォレット)で管理していたため、不正流出が複数発生。これを受け業務の遂行等のために必要なものを除き暗号資産の管理をコールドウォレットなどで管理することを義務付けしました。
また、ホットウォレットで管理する顧客の暗号資産について、同種・同量の暗号資産(弁済原資)を保持することも義務付けされています。
詐欺表示、投機を助長するような広告・勧誘の禁止
匿名性の高い資産はマネーロンダリングに利用されやすいです(ダッシュ、モネロなど)。このため、取り扱う暗号資産を変える時は、金融庁に事前に届け出をだし、問題がないかチェックが行われます。
この点において、国内の取引所でも上場されているライトコインは、今後匿名性を向上させるようなので、取扱にどう影響するか気になる処です。
海外の取引所では突然アクセスができなくなり(倒産)、顧客の資産が持ち逃げされることがあります。
このような事態を防ぐため、交換業者の倒産時に、預かっていた暗号資産を顧客に優先的に変換するための規定を整備するようです。
外国為替証拠金(FX取引)と同様に、金融商品取引法上の規制が整備されます。
これにより証拠金倍率に上限が設けられます。
通常、為替(ドルや円など)ではレバレッジ25倍とされていますが、暗号資産の場合、価格変動が激しいため、証拠金倍率の上限を2~4倍と定めるとしています。
ビットフライヤーでは、5月末に最大倍率15倍から4倍に引き下げています。
風説の流布とは、価格変動させる目的で、虚偽の情報を流し価格を操作する行為を指します。
暗号資産では、噂やフェイクニュースなど流すことで価格が暴騰することが多々あります。
直近ではビットコインSVがバイナンスに再上場するというフェイクニュースが流れ、24時間(29日~30日)で100%以上暴騰しています。
以前までICOに適用されるルールは不明確でした。そのため、詐欺的な案件も多数出ていたことから、ICOに金融商品取引法を適用されることになります。
金融商品取引法とは有価証券の発行や売買などの金融取引を公正なものにし、投資家の保護や経済の円滑化を図るために定められた法律です。
インサイダー取引などの不正取引、取引所の自主規制の強化、開示制度の拡充が定められています。
カストディとは「保管」という意味で、取引所での保管又は、第三者機関によるカストディサービスが存在します。
取引所では本人確認義務、分別管理義務が規せられていますが、「暗号資産の管理のみを行う業者」に対しても規制が適用されます。(本人確認、分別管理等)
今回の法案成立に伴い規制が更に強まりましたが、投資家保護の観点において顧客を守ることに結びつくので、ユーザーとしては厳格に進めてもらいたいように感じます。
政府ではブロックチェーン技術に関して、先進的かつ革新的な技術とする中、今後の取り組みにおいて、ブロックチェーン技術の妨げにならないように進めることが課題とされています。