今回、新たにレース機能のリリースを間近に控えた、くりぷ豚を運営する株式会社グッドラックスリーの周 晠煥氏にブロックチェーンゲームインフォ編集長の木村がインタビューをさせていただきました。
周氏 : 弊社はこれまでスマホ向けのゲームアプリを中心に開発運営を行ってきました。サンリオさんのIPを使った「さわって!ぐでたま」シリーズを筆頭にマイメロディの占いアプリ、オリジナルゲームや地元企業を題材にした実写ドラマを作っています。
昨年度からブロックチェーンをメインに据えて事業を展開しています。
周氏 : ブロックチェーン技術を使った新しいタイプのゲームで、「豚」のキャラクター(※)の遺伝子がブロックチェーン上に記録されています。
今までのゲームと異なる特徴としては、仮想通貨イーサリアムを用いて、他のユーザーと直接キャラクターの交換・売買ができる点です。多数のユーザー様に遊んでいただき、これまでに3万匹以上のトンが誕生しています。
Dappsの可能性にいち早く着目しリリースしたことで、国産のブロックチェーンゲームの先駆けになったと思います。
※くりぷ豚ではゲームタイトルは「くりぷ豚」、豚キャラクターは「くりぷトン」または「トン」で表します。以下ゲームタイトルは「くりぷ豚」、豚キャラクターは「くりぷトン」または「トン」で表記します。
周氏 : くりぷトンを育成する機能と共にレースが追加される予定です。
レースで特徴的なのは、コース上に障害物があって、障害物を乗り越える時に、ユーザーの操作が必要になる点です。
今までのブロックチェーンゲームにはあまりなかった「操作性」を導入しています。
例えば、砂場では足が遅くなるので「連打して応援するとスピードアップする」と言うような要素が入っています。
キャラクターが可愛いこともあって、開発チーム内のテストプレイでもラストスパートは思わず応援したくなる面白いレースに仕上がってきています。
周氏 : はい。含まれています。
全てのレースではありませんが、障害物を効率よく乗り越えていけるように操作性のあるゲームになっています。
周氏 : SNSの反応を見ていますが、ご好評いただいています。コースが3Dで表現していることもあり、臨場感がたっぷりです。自分が持っているくりぷトンが走っている所を想像してくださっているのではないかなと思います。
自分が持っているくりぷトンにさらに愛着が持てるコンテンツになると思います。
木村 : かなり作り込まれていますよね。
周氏 : 安心しました。(笑)
リードプログラマーがレースゲーム開発のキャリアもあり、そういった経験が活かされているのだと思います。
難しいと感じたのは、どこまで作り込むかとブロックチェーンゲーム業界の規模が今はまだ小さいといった話があります。
例えばコースを作るときに平面だけにするのか坂道を作るのかといった議論が社内ではありました。
坂道を作るなら坂道にさしかかった時にスムーズに走っているように見えないと違和感がでてしまいます。そういった表現のクリエイティブと、現実にできるコスト感の間で、自分たちのやりたいことをいいバランスで固めていくことに気をつけました。
木村 : レースを開発していた人が演出面を?
周氏 : そうですね、カメラワークはリードプログラマーを中心に既存のレースゲームや競馬などを参考にしました。
演出面も、デザイナーがこだわりを持って作っていますね。
木村 : カメラが揺れる演出があって、凝っているなと思いました。
周氏 : 揺れ過ぎな気もしますけど笑
周氏 : 競争といえば、勝ちたいと思うはずです。
そして、勝つためには育成が必要で、育成要素も存分に楽しんでいただきたいです。
コースによって、カーブが得意なくりぷトンや直線が得意なくりぷトンなどの相性がありますので、分析してみたり、他のくりぷトンとの駆け引きだったりをうまく楽しんで欲しいですね。
レースに勝利したくりぷトンには特別なオプションをつけられるようにしようという計画もありますので、がんばってご褒美を貰って、育成やレースにおける経験なんかを次のくりぷトンの配合に活かしながら遊んでいただきたいです。
木村 : リアルタイムではないですよね?対戦は?
周氏 : 対戦はリアルタイムではありません。
木村 : 他のオーナーのくりぷトンがCPUとして参加する?
周氏 : はい。よくあるレースゲームのゴーストのように参戦する予定ですので、疑似的なユーザー同士の戦いと言えます。
木村 : ランキングはありますか?
周氏 : ランキングはあります。予選のランキング、公式戦のランキングなどがあります。そういったところで上位をねらっていただきたいと思っています。アップデートで順次追加していく予定です。
木村 : グレードごとのレースのような物はありますか?
周氏 : あります。マンスリーカップであったり、特定の見た目のトンのみなど参加条件のあるレースも企画していまして、様々なトンが活躍できるようにするつもりです。
出典 : youtube
【くりぷ豚(トン)】レースゲームのプレイ動画を大公開!
周氏 : 丸太など障害物が近づいた時に操作をしないと立ち止まるんですけど、応援すると飛び越えます。
ダッシュする部分では応援してダッシュさせてあげられます。砂場や風が拭いている場所やラストスパートで応援してあげると、トンがダッシュして速くなります。
木村 : スタミナとかはあるんですか?
周氏 :スタミナもあります。
スタミナのステータスが高いほうがレースの後半で有利になりやすいです。
体験版では出場するトンは選べないのですが、リアルタイムで操作できるレースを体験していただけます。
フル3Dで作っていますので、もしかしたら端末によってはカクカクするかもしれないので、ベンチマークテストとしても、フィードバックをいただければと考えています。
木村 : スマホでも遊べますか?
周氏 : アプリ版は後からの対応になる予定ですが、一般的なブラウザやdAppsブラウザであれば遊べます。
コースはリリースした後に追加していきますので、楽しみにしていただければと思っています。
木村 : カメラワークってバリエーション有るんですか?
周氏 : 今の所はありませんが、観戦モードを計画しています。
木村 : 観戦モードというのは、別のオーナーのレースをですか?
周氏 : そうですね。ゲーム内のポイントをベットして…というのが案としてあります。
仮想通貨は賭けられないんですけど(笑)
周氏 : まずはしっかりと育成レースを作りこんでいきます。他のゲーム性追加も可能性としてはゼロではありません。
ブロックチェーンゲームを取り巻く環境や雰囲気は、ここ半年でも変わってきており、リリースして状況を見ながら改善していきたいと考えています。
木村 : 世代0のオーナーなんですけど、活躍できる可能性はあるんですか?
周氏 : 活躍する可能性はあります。
世代0など特別なくりぷトンはボーナスがつくようになっています。
また、育成することでステータスがあがりますので、育成していないトンに比べたら活躍しやすいので育成を頑張っていただいて自分のトンを活躍させてほしいなと思います。
木村 : 「げきはや」なんですけど…
周氏 : 「げきはや」などのクールタイムは、"親"がお見合いした時のクールタイムが"子"のレース中のスキル発動率に影響があります。※
※11/26 グッドラックスリー様へ確認いたしました所、「げきはや」についての説明に不足がありました。変更は次の通りです。
変更前:レース中のスキル発動率に影響があります。
変更後:"親"がお見合いした時のクールタイムが"子"のレース中のスキル発動率に影響があります。
木村 : 日本のブロックチェーンゲーム業界ではプレセールに関しての議論が活発にされていますが、そういった中開始されたプレセールに対してどういった考え方で開始をされたんでしょうか?
周氏 : 他のゲームとプレセール時期がかぶったこともあって議論が起こったのかなと思います。
弊社としても初めてのプレセールだったので色々な学びがあったと考えています。
木村 : どんな学びがありましたか?
周氏 : 例えば、プレセールは
昼の15時に開始したんですが、ちょっと混雑してしまったことが反省点としてあります。
また、複数の人が同じトンを同じタイミングで買おうとすると、誰か一人しか買えないといった
今までのスマホアプリでは無い現象もありました。
木村 : 対策はあるんですか?
周氏 : 今後、プレセールを振り返りながら、検討する予定です。
木村 : プレセールの販売結果はいかがでしたか?
周氏 : おかげさまで好評いただき、一番高い限定トンと二番目に高い限定トンが売り切れになり、全体として約80%が売れました。
デザインもこだわってかわいく仕上がっていたので、スキルと合わせて考えていただいて、売り切れたのかなと思います。
ユーザーの方に期待していただいている表れだと思いますので、期待にちゃんと答えていきたいと思います。
木村 : プレセールの価格帯に関して、ユーザーから反響や意見はありました?
周氏 : 売れるごとに少し高くなり、時間とともに徐々に価格が落ちていく仕組みを採用していたんですが、立て続けに買われたことによって高騰してしまいました。特にくりぷ豚は低価格で遊べていたので、あまり連続して買われることはないかなと思っていたのですが、想定以上でした。
そういったこともあり、価格設定は、今後の課題として認識しています。
木村 : 今後プレセールをやる事があれば、価格の面であったり、商品のラインナップはどうなっていきますか?
周氏 : 現時点では未定です。
プレセールも終わったばかりですので、今後検討していきます。
木村 : レースの動画を出した後にプレセールを開始したと思いますが、これまでのブロックチェーンゲームの流れだと、ゲームがどういった物が出るかわからなかった事が多かったですよね。その中でくりぷ豚さんの出し方はそこを意識していたのじゃないかと思いました。
周氏 : 元々6月から運営していますので、タイトル自体はありましたが、レースの部分に関してはあまり出していませんでした。ちゃんと開発は続けてきていましたので、プレセールへの安心感、ゲームをもっと面白くしていくメッセージを、動画を観て判断していただければと公開しました。
周氏 :
社内で育成レースゲーム名のアイディア出しがありまして、30個くらいあった中で、多数決で決まったのが「グラン トン リスモ」という名前です。
最終的に商標なども確認しながら決めました。
周氏 : まず、リリースした時、日本でブロックチェーンゲーム出していいの?っていう空気感があったんですね。
それをくりぷ豚が先駆けとしてリリースできたこともあったのか、他社さんも続いてリリースや開発の発表がありました。約半年が経ったいまでは、日本でもゲームの設計次第では仮想通貨を使ったゲームをリリースできるという空気感が一般的になってきたと感じています。
課題としてはトランザクションのつまりや、ガス代が高くなったときに遊べなくなるということもありました。
6月頃にGAS代が急に高くなって、急激にDAUが落ちることがありました。GAS代が高くなると手数料ばかり取られてしまい、遊びたいのに遊べないという現象がdAppsならではの課題ですね。
もう一つは、「ブロックチェーンゲームの魅力」でもある、「仮想通貨を使って遊べる」という部分が、どうしても「仮想通貨を持っていなければ遊べない」であったり、「仮想通貨を持っていてもウォレットやメタマスクが必要です」などの、何段階かハードルがあるというのが課題としてあります。
その中で、少しでもブロックチェーンゲームを触れてもらおうと、くりぷ豚ではツイッターと連携させる機能をいれて、トンを贈ったり受け取れるようにする機能を導入しました。
「ブロックチェーンゲーム」や「dApps」という概念も広げて
いく必要を感じていましたので、遊ぶきっかけになればうれしいです。
また、ブロックチェーン側のUXの改善は、弊社では解決しづらい難しい所
ですので、ブロックチェーン側の技術の発展をみながらゲーム側でできることがあればやっていこうと思っています。
周氏 : もともとくりぷ豚ではトンをプレゼント出来る機能がありましたが、社内のR&D担当である大崎のアイディアで「投げ銭のようなことを出来たら面白い」と言う話がでました。
そこからDappsの課題と照らし合わせながら「一番拡げやすいのは何だろう」と考えた時に、ツイッターならたくさんの方が使われていますし、拡散性もあるだろうということで、ツイッターを採用して実装しました。
配合まで遊ぶとなると仮想通貨が必要になってくるんですけど、「とりあえずブロックチェーンゲーム触ってみたい」・「豚のキャラクター(デジタルアセット)を持ってみたい」と言う方に対して、取引所で仮想通貨を買ったりせず、ウォレットを用意せずに、ツイッターでログインするだけで受け取れるという機能です。
木村 : ツイッターで受け取る機能の実際の効果は?
周氏 : 相手がウォレットを持っているか確認しなくていいので、ユーザーさんが自らプレゼント企画を行う動きがありました。そこで「初めてブロックチェーンゲームを触ってみた」という方は結構いたのかなと思います。
周氏 : あります。仮想通貨取引所/販売所との提携を目指しています。
Dappsを遊ぶ為に仮想通貨を持っていないといけない、という点においては、一つハードルを除けるので、大きなアドバンテージになると思います。ハードルを超えた先の工夫も必要ですが、dAppsゲームの認知にもなりますので、遊ぶきっかけになって、そこから拡がっていけばと思います。
やはりブロックチェーンゲームやdAppsの認知がまだまだ低いうえ、ウォレットの秘密鍵なども説明するのが難しいと言う所を、取引所のユーザーさんであれば、なんとなくはわかっているはずですので、仮想通貨取引所/販売所との親和性は高いと思っています。
そういった取り組みをしながら、もっともっとブロックチェーンゲームを拡げていこうとしています。
弊社が課題としてずっと感じている点は、ブロックチェーンゲームのユーザーが少ないという事があります。どうやって増やしていくのかと言うと、初心者向けワークショップで触っていただいたりと言う地道な活動から、ウォレットとの提携であったり、ツイッターを使った試みで、なんとかもっともっと知っていただこう遊んでいただこうという思いが様々な取り組みの根底にあります。
木村 : Go!Walletさんとも提携を発表されましたね。
周氏 : くりぷ豚を知ってもらう場所を増やすと言う目的がありまして、
今はウォレットやブラウザどれか一つではなく、色んな所に載せていただいて、くりぷ豚を知っていただく方針です。
そういった中でお声がけいただいて、是非やっていきましょうと提携しました。
ウォレットを持っているということは仮想通貨を持っていますし、秘密鍵も知っている、ということは、仮想通貨のトレードしかしませんという人でも、興味をもっていただければスムーズに遊べますし、
そういったところからdAppsという物があると知っていただきたいという思いがありますね。
周氏 : まずはしっかり育成レースゲームを機能拡張して完成させていきます。
ゆくゆく出来たらいいなと言うものですが、追加のゲームであったり、くりぷ豚を使ったARアプリであったりは前々から構想があります。
くりぷ豚エコノミーではないですけど、くりぷ豚が活躍するような追加ゲームを作れたらいいなと思います。
この一年で様々なことが変わったので、これからも新しいものが出てきたり情勢が変わったりすると思いますので、ある程度先をみながらその時々で最適な道を選んでいこうと考えています。
くりぷ豚がIPとなったら最高ですね!
お忙しい中ご協力いただきありがとうございます。
まだまだユーザー数の少なさや、課題が多いブロックチェーンゲーム業界。
その中で、少しでも知ってもらう為の試みや、市場と機能の兼ね合いなどの苦労がありました。
これからもくりぷ豚には要注目です。