仮想通貨業界で一昨年から昨年に流行ったHYIP。
DAppsとしてHYIPがこれから再び問題となる懸念されます。
HYIPとは、High Yield Investment Programの頭文字をとったもので、高収益投資プログラムを意味します。
その名の通り、「投資した金額に対して日利1~10%」、中には20%以上など、通常では考えられないような高配当が設定されているプログラムです。
投資信託やファンド等、同様にお金を集めて配当金を返す仕組みの物月利5%などが良い所の中、日利1%でも、月利にして30%。10%ならば、3倍になる…
(累積せず、最初の投入金額に対しての●%である事が多い)
これが本当ならば、とても夢のある話ですね。
サイト上にも、「●●に投資をする事でこの日利が実現可能だ」と言ったことや、「イギリスで承認を受けている」などの安心をさせる言葉が並びます。
一昨年末ごろから、仮想通貨ブームの流れを受けて、仮想通貨を使ったHYIPが大量に作られ、多くのアフィリエイターがこれを紹介しました。
日利5%なら、1ETHを投入すれば翌日には0.05ETHが帰ってきて、20日で元が取れる事になります。
本当に振り込まれるのか。と、翌日引き出し申請を出してウォレットを確かめてみると、本当に振り込まれています。
しかし、本当にそれが20日続くかと言うと、そうではありません。
ある時なぜか「Pending」となり振り込まれなくなります。
ポンジ・スキーム(英:Ponzi scheme)とは、詐欺の一種で、日本語で言うところの「自転車操業」に近いものである。「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと謳っておきながら、謳っていることとは異なって実際には資金運用を行わず、後から参加させる別の出資者から新たに集めたお金を(やはり運用せず)以前からの出資者に“配当金”などと偽って渡すことで、あたかも資金運用が行われ利益が生まれてそれが配当されているかのように装うもののこと。
出典 : ja.wikipedia.org
ポンジスキームとは、集めた資金をそのまま用いて、配当として渡す、自転車操業のような仕組みでの運用を行います。
実際に、「●●に投資をする事でこの日利が実現可能だ」と説明されている、「●●に投資」をしている事実はほとんど無く、ユーザーから集めたお金をそのまま配当として流用します。
人を集める為に、現在登録をしているユーザーに約束した通りに配当を支払い、
ユーザーが集まったならばとんずらをする。
ほとんどのHYIPは、あらかじめ運営のとんずらが決まったスキームでした。
運営開始からある期間まで配当として受け取った金銭を払い戻ししつつ、運営が払い出しを辞めると決めたならば、それ以降は一切の支払いを行わなくなります。
払い出しを辞めるタイミングは、どれだけ人が流れ込んでくるかによって決まるともいわれています。
人がまだまだゆっくり流れ込んでくるならばそのまま継続しますし、爆発的に増えてその後一気に減ったならば、その時に払い出しを辞める事でHYIP運営者の利益を最大化させる方向に動きます。
これにはいくつかのパターンがあり、
・最初から一切振り込まれない。
・数日は振りこまれる。
・100%以上を回収して原資を引き出すことができる。
これらは、参加する案件や、参加する時期によっても変わりますが、ほぼ全てがいつか払い出しを辞める点で共通しています。
八割が原資割れをし、残り二割で100%以上回収できる、とも言われていました。
ビットコインと共に、爆発的に流行ったHYIP。
大きく4つの理由があったのではと思います。
・先行者優位
・アフィリエイト報酬
・ビットコインでの支払い
・海外法人として運営できた
HYIPの仕組みから、投入した金額の100%以上払い出しを受けるには、運営開始からより早い時期に参加をする事で、確率も、払い出し額も上がると言う、先行者優位性が利益に直結しました。
いずれ必ず支払いが止まる事に対して、「詐欺だ」、と思う以上に、「先行者にさえなれば、この詐欺を利用して儲けられる」と考えた人も多かったのです。
その結果、すぐにつぶれる事を前提に、先行者になろうと、情報を早く流す人がいるラインのグループや、HYIP情報サイトなどが大量に生まれました。
HYIPを運営するうえで、少ない人数からギリギリを取ってもうまみはありません。
多くの人数を集める為に、アフィリエイトプログラムがほとんどのHYIPサイトに実装されていました。
一人を紹介すれば、紹介したユーザーの入金額から10%もらえるなどの設定があり、投資案件としての紹介なので、紹介したユーザーが振り込む額も大きい。
アフィリエイトで仮想通貨口座を一件開設させても数万円の中、アフィリエイターやインフルエンサーにとっては大きな収益源となりました。
早く参加できるように自分の情報をキャッチアップしてくれさえすれば儲けられる、と、仮想通貨で投資するユーザーを囲い込みました。
ビットコインでの支払いは、送金受け取り用の銀行口座の開設もクレジット審査も必要がありません。
銀行口座が凍結されることも、チャージバックも恐れる事なく、電話番号を用意する必要もない。
特定商法や金商法など様々な法律の範囲外で住所も明かさず、海外法人として運営ができました。
その為、HYIP業者は大量のサイトを作成する事ができ、手を変え、品を変え、大量のサイトを生み出し、大量のアフィリエイトプログラムを用意しました。
また、支払う側も、ビットコインでの支払いにより、通常の現金払いやカード払いと違って、大切なお金を投入しているという感覚がやや薄い中、ゲーム感覚で参入していきました。
手軽さとして「海外法人として運営ができた」とあげましたが、日本で流行ったものの中には、日本人が運営していたものもありました。
多くは海外拠点の人間によるものですが、「~の国に法人を建てて、HYIPを運営すれば~円くらい儲かる。法人を建てる所からHPを作るところまで請け負っている業者があるけど興味ある人いたら紹介料を払います」のような形で、国内の法人に話が回ってくる時期もありました。
HYIPが流行る前にはペニオクなども、同じようなスキームで、法人を海外に建てて運営する話もあり、その都度トレンドにそったパッケージを用意する会社がやはりこうしたブームの陰にありました。
仮想通貨業界ではもうすでにトレンドが去ったHYIPも、ここ最近、DAPPSとして復活しようとしているのでは無いか、とみられる動きがあります。
Dappraddarの新着サイトには、333ETH、4ever、WizardContractなど、一日●%のリターンが返ってくると説明のあるサイトがまた増えてきています。
今後、流行るかどうかは別ですが、333ETHは現在残高2230ETHと、比較的大きな残高となっています。
これらは、いわゆるHYIPですが、従来のHYIPと少しだけ違った点が見て取れるのではないかと感じました。
333ETHを例にとると、送金にメタマスクを使用せず、表示されているEthのウォレットアドレスにETHを送ってくれれば自動的に払い出す、と言う仕組みを取っています。
払い出しを、運営者が「Payout」を実行する事で、コントラクトアカウントから送金をしたユーザー全員宛てに払い出しを行う機能が実装されているようです。
払い出しのタイミングは運営側が握っている為、運営側の払い出し機能を管理するボットを止めてしまえば、それ以降は払い出されなくなります。
ソースコードを完全に読みこんでいない為、断言はできませんが、
4everを確認した所、コントラクトアカウントに残高がある限りは払い出しが止まらない、運営の意志が介在しないサイトです。
運営には、入金のたびに5%が手数料として入りますが、それ以外は払い出しを止める手段が設定されていません。
唯一、「現在のコントラクトアカウントのETH残高<払い出し額」の時に払い出せなくなる仕様が組み込まれています。
このため、残高が足りなくなって引き出せなくなっても、そのあとは誰かが入金したタイミングでうまく引き出しさえすれば…と言う可能性は残ります。
後者は、やや良心的かもしれません。
しかし、両者ともに、ゲームのコントラクトアドレス内で、ユーザーの入金した金額をそのまま配当として使うポンジスキームである点は同じです。
一点、特質すべき点として、過去のHYIPのように、「●●に投資をしているからこの配当が実現できる」等、嘘のアピールせずに、DAppsとしてのHYIPは、あくまで「ポンジスキーム型配当ゲーム」として、新たな方向性に舵を切っているのかもしれません。
「ポンジスキーム型ゲーム」と言えば、Fomo3Dの台頭が記憶に新しいですが、
「ポンジスキームだと知っていても、ユーザーは入金をした」、と言う事実は、非常に大きかったのではないでしょうか。
過去のHYIPは、綺麗なウェブサイト、イギリスでしっかり認可を取っている、いくら動いている、どうしてこの配当が実現できる、などがHYIP業者にとっては人を集めるうえで重要でした。
しかし、そんなものは無くても金が儲かるならポンジスキームでも人は集まる、と言う方向へHYIPはこれから舵を切り、
今後再び、HYIPが問題となってくる流れを作り出す可能性はあるかもしれません。
2万ETHが7月23日現在PotにたまるFomo3Dとは。ポンジスキーム型を抜け出した先に見えるペニーオークション型のBotは排除できるのか。