一般社団法人 コンピュータエンターテインメント協会(CESA)、一般社団法人 日本オンラインゲーム協会(JOGA)および一般社団法人 モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は、ブロックチェーンゲームを適正に運営・提供することにより、ユーザーに安心、安全にゲームを楽しんでもらい、健全な市場成長や充実したユーザープレイ環境構築のベースになることを目的としてブロックチェーンゲームのガイドラインを制定したと発表した。
賭博罪等に関する事項、前払式支払手段に関する事項、暗号資産に関する事項の他ブロックチェーンゲームを提供する上で注意するべき事項がまとめられている。また、ブロックチェーンゲームの提供者による具体的な実装方法や注意点を明らかにするために、細則を定めることがあると表明しており、3団体は引き続き必要に応じて、随時の見直しと更新を行っていくとしている。
ブロックチェーンゲームに関するガイドライン
一般社団法人 コンピュータエンターテインメント協会
一般社団法人 日本オンラインゲーム協会
一般社団法人 モバイル・コンテンツ・フォーラム
1.基本理念・目的
●昨今、ブロックチェーン技術を応用してゲーム内アイテムを管理することができるゲームが登場してきている。
●これらのゲームは、ゲーム内コンテンツを他のユーザーとの現金やイーサリアム等の暗号資産と交換することができる機能や、1つのゲームだけではなく複数のゲームでアイテムを管理するための識別子(トークン)を共用する機能など、従来のオンラインゲームとは大きく機能が異なり、新たな遊び方の可能性を有している。
●このようなゲームに対して、従来のオンラインゲームを前提として定めてきた当協会の各ガイドラインはそのまま適切に適用できない部分も生じており、また新たな機能や遊び方を踏まえて、ユーザーが安心・安全に遊ぶことができるために新たに必要となる観点についての指針が求められている。
●本ガイドラインは、ブロックチェーンゲームを適正に運営・提供することにより、ユーザーに安心、安全にゲームを楽しんでもらい、健全な市場成長や充実したユーザープレイ環境構築のベースになることを目的とする。
●一般社団法人 コンピュータエンターテインメント協会(CESA)、一般社団法人 日本オンラインゲーム協会(JOGA)および一般社団法人 モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)(総称して本ガイドラインにおいて「当協会」という。)は必要に応じて、随時の見直しと更新をしていく。
●本ガイドラインは、ブロックチェーンゲームの提供者による具体的な実装方法や注意点を明らかにするために、細則を定めることがある。
●当協会及びブロックチェーンゲームの提供者は、本ガイドラインの業界内外の理解を深めるための啓発活動を積極的に行っていく。
2.本ガイドラインの適用範囲
(1)本ガイドラインの適用範囲は、ゲームにおけるアイテム等のデジタルデータにブロックチェーン技術を用いるとともに、そのデジタルデータの交換が可能なゲーム(本ガイドラインにおいて「ブロックチェーンゲーム」という。また、ブロックチェーンゲームにおける当該交換可能なデジタルデータを「売買可能トークン」という。)とする。
(2)当協会が定める本ガイドライン以外のガイドライン(今後定めるものも含む)は、当該ガイドラインに定める適用範囲に含まれる限り、ブロックチェーンゲームにも適用する。ただし、CESA「リアルマネートレード対策ガイドライン」およびJOGA「オンラインゲーム安心安全宣言」のリアルマネートレード禁止の規定についてはブロックチェーンゲームには適用しないものとし、本ガイドラインが適用されるものとする。
3.賭博罪等に関する事項
ブロックチェーンゲームの提供者は、有償ガチャのように、有償で得られる売買可能トークンが偶然によって選択される仕組みとする場合、ユーザーは賭博罪、ゲーム提供者は賭博場開張図利罪又は富くじ罪に該当する可能性があることに十分留意するものとし、これらに該当しないように、弁護士その他の専門家に確認のうえで、慎重に設計すること。
4.射幸性に関する事項
ブロックチェーンゲームの提供者は、ゲーム内コンテンツを他のユーザーとの現金やイーサリアム等の暗号資産と交換することができる機能や、1つのゲームだけではなく複数のゲームでアイテムを管理するための識別子(トークン)を共用する機能(以下「共用サービス機能」という。)をブロックチェーンゲームに組み込むことができる。ただし、ゲームとして射幸性が高くなり、意図しない高額課金を繰り返す事態は安心・安全なゲーム提供の理念を害する懸念が生じる。このため、売買可能アイテムの市場価格と取得方法及び取得に要する現金等の総合的なバランスをとり、過度な射幸性を有することがないようにする。
5.景表法その他の適法性に関する事項
ブロックチェーンゲームの提供者は、景品表示法を遵守し、十分な事実確認と表示内容が真実であり誤認させない適切な表示であることを確認したうえで表示する。特に、共用サービス機能に関する表示を行う場合には、サービス主体及び責任の所在についての誤認が生じやすいため一層の注意を要する。
6.前払式支払手段に関する事項
ブロックチェーンゲームにおけるゲーム内コンテンツの前払式支払手段該当性については、従来型オンラインゲームと同様に考えることができ、この判断は当協会が定める「ネットワークゲームにおける前払式支払手段に関するガイドライン」に則って行うものとする。 ただし、当該ゲーム内コンテンツがゲーム内において決済(代価の弁済)のために利用できず、権利行使性を有さない場合であっても、ブロックチェーンゲームの提供者自ら又は第三者と共同して提供する共用サービス機能において決済機能を有する場合には、権利行使性を有するとして、前払式支払手段に該当する可能性がある。 ブロックチェーンゲームの提供者は、発行するゲーム内コンテンツが前払式支払手段に該当する可能性がある場合には、弁護士その他の専門家に確認のうえで、必要に応じて資金決済法に基づく届出又は登録を受けたうえでこれを行う。
7.暗号資産に関する事項
売買可能トークンが決済の手段として使用されている場合(ゲーム内通貨のような使用形態の場合など)、売買可能トークンと暗号資産との交換機能を有している場合には、売買可能トークンの発行者または取引市場の運営者において暗号資産交換業としての登録が必要となる可能性がある。 ブロックチェーンゲームの提供者は、これらに該当する可能性がある場合には、弁護士その他の専門家に確認のうえで、必要に応じて資金決済法に基づく暗号資産交換業の登録を受けたうえでこれを行うこと。
8.サービスの説明に関する事項
ブロックチェーンゲームの提供者は、ゲーム内アイテムとしての利用方法や関連するサービスの内容についてユーザーに対し十分説明すること。
9.取引・トークン管理の透明性に関する事項
ブロックチェーンのプログラム上、ブロックチェーンゲームの提供者または特定のユーザーによる売買可能トークンの恣意的な改変や運用が不可能とする仕組みとする。
以上
2021年5月6日制定 2021年7月1日施行出典 : www.mcf.or.jp
ブロックチェーンゲームに関するガイドライン
https://www.mcf.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2013/10/blockchain_guideline.pdf