Coinhive(コインハイブ)裁判の最終弁論が2月18日横浜地方裁判所にて行われました。
Coinhive(コインハイブ)をウェブページ上に設置したことへ対して、不正指令電磁的記録保管の罪に問われた男性の裁判が2月8日、横浜地方裁判所で行われました。
傍聴席は、報道陣を含めて50名程の席が全て埋まり、傍聴できない人も出るほどの注目の高さがうかがい知れました。
検察側は、「Coinhive(コインハイブ)を気づかないように設置した事は巧妙かつ悪質で、動機も経済的利益を得る為で身勝手、反省の態度が希薄」として、罰金10万円を求刑しました。
弁護側は不正指令電磁的記録が成立するかについて、反意図性は検察側の立証が不十分であり、不正性は基準が明確でない事から成立しないと主張し、また、成立したとしても故意や実行の用に供する目的は無いとして、無罪を求めました。
被告の男性は、最終陳述で「この裁判はこれからのIT業界やインターネットに携わる全ての人にとって深刻な影響を与える」と、慎重な判断を求めるとともに、
「コインハイブを試した多くが、利用者を不幸にするために設置したのではなく、どうしたら良いサイトになるかを考え悩んだうえで選択した」とし、選択したことについて、「胸を張りたい」と述べました。
詳しい公判内容はこちらをご覧ください。
Coinhive(コインハイブ)は、ウェブサイトに設置をすると、閲覧者のPCのリソースを使って仮想通貨のマイニングを自動的に行うjavascriptです。
「広告での収益の代わりになるのでは?」と、2017年ごろに注目を集めました。
閲覧者側のPCを、許諾無く、勝手に利用する事で、閲覧者のPCのCPUの使用率が上がり、電力の消費が上がることや、パソコンそのものにダメージを与えるかもしれない事が問題視されました。
その結果か、多くのウイルスソフトなどでCoinhive(コインハイブ)を設置したページは危険なページとして認識されるようになりました。
2018年に、漫画村と呼ばれる海賊版サイトがCoinhive(コインハイブ)を利用していたことが明るみに出た際には、多くの識者が、「漫画村にはウイルスが埋め込まれているので利用すべきでは無い」と、執拗にCoinhive(コインハイブ)=ウイルスと言う論調で、漫画村の利用を辞めさせるための材料としていたことも記憶されている方は多い事でしょう。
2018年6月、Coinhive(コインハイブ)を設置したことにより、日本で16名が摘発されたことが報じられました。
https://www.sankei.com/affairs/news/180614/afr1806140035-n1.html
このうちの一人である男性が、略式起訴に対して異議申し立てを行ったことが、本裁判です。
詳しい経緯は以下をご覧ください。
表題の通り、お恥ずかしい限りではありますが、人生ではじめて警察(神奈川県警!)のお世話になる運びとなりました。罪状としては「不正指令電磁的記録 取得・保管罪」、通称ウイルス罪とのことで、まさに青天の霹靂の思いです。ドークツは「Webを楽しもう」をモットーに東京都吉祥寺で活動するWeb制作チームです。
さて、Coinhive(コインハイブ)の設置が有罪となったならば、ブロックチェーンゲーム業界ではどのような影響があるのか、今回の事件から考えてみました。
今回、Coinhive(コインハイブ)の設置を違法とした根拠のほとんどが、「常識に照らして」や「社会的に」など、明確な基準が無く、弁護側も指摘する通り、立証が不十分・不明確な状態での摘発である印象がありました。
こうした新しい方法を試した事に対して、不明確な基準で摘発となってしまった場合、
ブロックチェーンゲームに限らず、全ての新しい業界は、試した新しい技術や対応が、なんらかの法令や法律に違反しているからと、突然摘発されてしまう可能性も出てくるのではないでしょうか。
ブロックチェーンゲームは、多くの企業によって、どのような方法を取れば、法令や法律に違反しないか、金融庁への確認や弁護士と連携しつつ、よりよくなるためにどんどん変化をして、試されている段階です。
変化の中で、よくなるためにと試された一つの方法が、万が一、明確な基準が無く、法令法律違反として摘発されてしまったならば、例えその後、違反ではないと判断されたとしても、Coinhive(コインハイブ)の場合に照らし合わせて考えると、一年間以上も、発展が停滞してしまう事にもなり得るかもしれません。
Coinhive(コインハイブ)は直接的には関係が無い業界ですが、ブロックチェーンゲーム開発関係者には、是非、判決に注目をしてほしく思います。
判決は3月27日に行われる予定です。