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IVS Crypto 2024 KYOTOレポート「Web3エンタメ事業の極意伝授 大手エンタメ企業が取り組む3つの課題 」

IVS Crypto 2024 KYOTOレポート「Web3エンタメ事業の極意伝授 大手エンタメ企業が取り組む3つの課題  」

パネルディスカッション「Web3エンタメ事業の極意伝授 大手エンタメ企業が取り組む3つの課題」の課題とは。

7月4日から6日に京都パルスプラザで開催された「IVS CRYPTO 2024 KYOTO」のパネルディスカッション「Web3エンタメ事業の極意伝授 大手エンタメ企業が取り組む3つの課題」。

様々な企業がWeb3事業に本格参入する中、業界は新たな転換期を迎えている。本パネルディスカッションんで取り上げられた課題に、各社はどう挑むのか。DePINなど新技術の活用、既存サービスとの融合、そして企業間連携の可能性まで、Web3エンタメの未来図が浮かび上がる。大手各社の戦略と、彼らが直面する課題から見えてきたことは?

パネルディスカッション:Web3エンタメ事業の極意伝授 大手エンタメ企業が取り組む3つの課題

大手エンターテインメント企業がWeb3事業に本格参入する中、その課題と展望についてのパネルディスカッション。テレビ朝日の増澤晃氏、DeNAの田中翔太氏、GMOメディアの佐藤真氏、DEAの山田耕三氏が登壇し、Web3エンタメ事業の現状を語った。

テレビ朝日の増澤晃氏、DeNAの田中翔太氏

テレビ朝日の増澤晃氏、DeNAの田中翔太氏

持続可能なビジネスモデルの構築

第一の課題は「持続可能なビジネスモデルの構築」だ。DeNAの田中氏は「状況は変化しているが、ビジネスとして成立させる方法がまだ課題」と指摘した。この課題に対し、同社は若手人材の育成に注力し兆しを見つけることに注力していると語った。具体的には、HACKER HOUSEを通じて新たなニーズの発掘を目指すとともに、若手を中心としたグローバル市場向けのプロダクト開発に取り組んでいる。その一例が、Web3クイズゲーム「trivia.tech」の提供だ。これらの施策を通じて、DeNAは持続可能なビジネスモデルの構築と、グローバル市場での競争力強化を図っている。

同社は若手人材の育成に注力

DeNAの田中氏はグローバルに通じる「ものづくり」を通して若手人材の育成に注力している。

この課題に対する新たなアプローチとして、DePIN(分散型物理インフラストラクチャネットワーク)が注目を集めている。プレイマイニングの山田氏は、具体例として東京電力と提携した「電柱陣取り合戦」ゲームの「PicTree(ピクトレ)」を紹介し(https://pictree.greenwaygrid.global/

このゲームでは、プレイヤーが電柱の写真を撮影し、カラスの巣などの異常を報告することで、実際の電力インフラの保守に貢献する。山田氏は「東京電力さんの点検に使われてるんですよ。カラスの巣があると停電のリスクがあるんで、処理しに行かないといけない」と説明し、ゲームを通じて現実世界の課題解決に取り組む新たなビジネスモデルの可能性を示した。

PicTreeのマネタイズモデル

PicTreeのマネタイズモデル

ユーザー獲得と理解促進

GMOメディアの佐藤真氏、DEAの山田耕三氏

GMOメディアの佐藤真氏、DEAの山田耕三氏

第二の課題は「ユーザー獲得と理解促進」だ。GMOメディアの佐藤氏は「既存サービスにWeb3を組み込んでいく事が難しい」と語る。同社は400万人超のユーザーを持つポイント活用したゲームプラットフォームを運営しており、この強みを活かしたOasysのL2チェーンでGESOVerseを使用し、「ブロックチェーンゲームPARK」というWeb3展開を模索している。
https://gesoten.com/bcg/index

さらに、GMOグループには暗号資産取引所やNFTマーケットプレイスなど、Web3関連事業が揃っているという大きな優位性がある。しかし佐藤氏は「グループ内でも各事業が分かれて運営しているので、なかなかその辺が歯がゆい状態」と述べ、グループ内連携の難しさも課題として挙げた。「興味を持っている人たちを繋ぐところに課題がある」とし、既存ユーザーをWeb3サービスに誘導する方法を模索している。

GMOメディアのWeb3への取り組み

GMOメディアのWeb3への取り組み

グローバル展開と技術応用

第三の課題は「グローバル展開と技術応用」だ。テレビ朝日の増澤氏は「グローバル展開にはゲームが適している」と述べ、同社はブロックチェーンゲームのアクセラレータープログラムを立ち上げた。しかし、「ガチガチのAAAゲームは必要なのか」という疑問も投げかけ、従来のゲーム開発の枠を超えた視点の必要性を指摘した。

各社は、グローバル人材の育成、ポイント経済圏の拡大、ブロックチェーン特有のサービス開発など、それぞれの強みを活かした戦略を展開している。
また、補助金の活用や現実世界の課題解決との連携など、多角的なアプローチでビジネスモデルの構築に取り組んでいる。

大手企業の本格参入により、業界全体の発展が加速する一方で、法規制への対応や技術的課題の克服、さらには企業グループ内の連携強化など、乗り越えるべきハードルは依然として高い。今後の展開が注目される。