パブリックブロックチェーン、プライベートブロックチェーン、コンソーシアムブロックチェーンについて簡単に纏めてみました。
仮想通貨の根幹となるブロックチェーン技術。DAppsもしかり金融ビジネスにおいても「ブロックチェーン」を活用する動きが活発化されています。
また、アイデアの革新さに加え幅広い用途への応用が可能なことから、仮想通貨や送金手段に限らず証券取引や保険契約、シェアリングサービス、食品のトレーサビリティ、著作権管理、美術品の所有権、医療サービス、行政手続きや投票など様々なビジネスで利用しようと大手企業も研究開発に取り組んでいます。
ブロックチェーン技術を導入することにより、第三者機関を通すことを必要としない(一部のブロックチェーンにはトラストレスとは言えないブロックチェーンも存在)ため、大幅なコスト削減にも繋がり利便性を与えます。
このブロックチェーンは、いくつかの種類に分けられ「パブリックブロックチェーン」、「プライベートブロックチェーン」、「コンソーシアムブロックチェーン」に分類されます。
(もう少し詳しく言うと、ここに「パーミッションレスブロックチェーン」、「パーミッションドブロックチェーン」という用語が存在しますが割愛させて頂きます)
今回はこの3種類について、それぞれの特徴や違いを纏めてみました。
ブロックチェーンは分散型台帳とも言われており、「改ざんが極めて困難」、「実質的にゼロ・ダウンタイム」、「データの紛失や書き換えの心配がない」といった特徴を持ち、信頼性の高い安定したシステムを比較的低コストで構築することができます。
パブリックブロックチェーンの「パブリック」という言葉は、ユーザー名やパスワードなどを入力しなくても利用できる、広く公開された状態を指します。ビットコインなどはパブリック型に分類され、その取引内容は、Blockchain.infoやChainFlyerなどから確認することができインターネット上に公開されているので、世界中全ての人が何の権限もなく自由に閲覧することができます。
chainFlyer(チェーンフライヤー)でブロックチェーンがもっと見やすく。 See the blockchain like never before.
パブリック型の一番の特徴は、中央に管理者(非中央集権)がいないということ。
それでいて、取引の承認を正しく行えることが大きな特徴です。
①パブリック型は取引記録の情報が世界中誰でも閲覧することができます。(分散化されている)このことにより非常に透明性が高いです。
②パブリックチェーンは、カウンターパーティーリスクがありません。カウンターパーティーリスクとは取引の相手方が破綻するなどして、契約が履行されずに損失を被るリスクのこと。中央に管理者がいないパブリック型は、破綻など起こりません。
③ネットワークに誰でも自由に参加ができ、承認する側(ノード)も不特定多数で行われるため、綿密に精査されます。
仮に、悪意あるマイナーがブロックチェーンの内容を改ざんしようとした時、全てのブロックを書きえなければならず、膨大な改ざん処理を行っている間に次のブロックが生成されるため、実質的には改ざん不可能と言われています。
① 承認する際、PoW、PoS、Polなどのプロセスをたどるため、プライベート型やコンソーシアム型に比べ、時間が掛かってしまうこと。コストが高くなってしまうことが挙げられます。
②情報がネットを通じて公開されているため、取引のやり取りがオープン。そのためプライバシー保護の観点で問題視されています。
プライベート型はパブリック型とは違い、ブロックチェーンを管理する管理者が存在します。また、管理主体が単独、つまり1社で閉ざされたネットワークで運用するブロックチェーンのことを言います。
このことから、ブロック生成においてパブリック型は、誰もが権限を持っていますがプライベート型では、管理者の許可を受けたものだけが権利を与えられます。
このようにプライベート型はパブリック型とは違い、中央集権型と言えるでしょう。
代表的なプライベートブロックチェーンとしてテックビューロの「mijin」、またはビットフライヤーの「Miyabi」などが挙げられます。
①2017年の6月、国内の上場企業でソフトウェアを開発、販売しているインフォテリア社が世界で初めて、株主総会における議決権行使にブロックチェーンを活用
②2017年の7月、中部電力によって行われたエネルギー分野におけるブロックチェーンの活用を検討する実証実験にmijinが使用
③2017年の10月、一般社団法人の日本ジビエ振興協会がジビエの食肉トレーサビリティシステムにmijinを利用することを発表し、試験運用を開始
④2018年の2月、日本の大手金融機関であるジャパンネット銀行がmijinを利用した実証実験を開始
⑤2018年4月、世界有数のソフトウェア会社であるマイクロソフト社の日本法人である日本マイクロソフト社が、自社のサービスである「Microsoft Azure」内でmijinの利用が可能になった旨を発表
「mijin」は、企業が管理するネットワーク上で、指定したノードだけ参加することができる「プライベート」なブロックチェーンを構築するためのプラットフォームです。トークンの発行、流通、勘定を簡単自由に行うことができ、トークンエコノミーの創造を加速します。
①2015年12月、プロジェクトが開始され2016年11月には3大メガバンクとデトロイトトーマツによる実証実験が行われる
②2017年4月、miyabiを利用した不動産情報管理システムの構築を開始すると発表
③2018年1月、三井住友海上火災保険が、bitFlyerと共同で、保険契約申込書の確認業務にブロックチェーン技術を活用する実証実験を2018年1月中旬から開始すると発表
世界最速・秒間 2,000 件のトランザクションを実現、独自のコンセンサスアルゴリズム、堅牢かつ高速なスマートコントラクト実行エンジンにより究極の性能を備えた bitFlyer のオリジナル・ブロックチェーン「miyabi」が歴史の新たな一歩を踏出しました。
プライベート型は、中央集権的ではあるものの「ブロックチェーンをどう使うか」によってパブリック型よりも恩恵を受けることがあります。
例えば、パブリック型では仕様変更等を行う場合、マイナーの賛同が必要ですが、プライベート型は管理者の決定で自由に変更することができます。
①前述でも述べましたが、仕様変更やルールを簡単に変更できるので用途に応じカスタマイズすることができます。
②パブリック型はネット上に情報が公開されますが、プライベート型は、ブロックチェーン上の情報を中央管理者が制限することができるので公開させたり、関係者のみ閲覧するようにできます。よって企業が顧客情報を管理する際、外部流出を防ぐことができるので金融機関や企業がそれぞれのプロジェクトで活用するのに適しています。
② パブリック型は、不特定多数の人がトランザクションの検証を行うのに対し、プライベート型は権限を与えられた少数の人(ノード)が行うので、取引承認を早く行うことができます。
③ プライベート型では、信頼された人が検証を務めるので、51%攻撃が起こるリスクがありません。
プライベート型は中央が管理するため、管理者に悪意がある場合、不正が発生するリスクが存在します。
① プライベート型は中央管理者が存在するため、カウンターパーティーリスクが発生する可能性もあります。
②仕様変更が安易なため過去のトランザクション履歴の削除やアカウント残高を変更することも実質可能。よって改ざんすることができるため半永久的にデータを保存できるとは言えません。
③ネットワークを拡大すると、承認作業に影響を及ぼし機能が低下する恐れがあります。
コンソーシアム型は単独で利用するのではなく複数の企業、もしくは組織、団体で活用するブロックチェーンを指します。
よって図式で言うとパブリック型とプライベート型の中間的存在です。
尚、「コンソーシアム」とは協会、また組合と言う意味を持ちます。
代表的なものにHyperledger Fabricが挙げられます。
2017年5月、日立はブロックチェーン技術の利用環境を提供するクラウドサービス「Hitachi Blockchain PoC環境提供サービス for Hyperledger Fabric」を発表
プライベート型は、単独が利用することにより中央集権的なブロックチェーンで、その管理者にすべての権限が与えられていることがメリットであり、デメリットでもあります。
コンソーシアム型は、プライベートチェーンに非中央集権の要素を取り入れた管理体制を持つことが特徴になります。つまり、プライベート型の持つ柔軟性と秘匿性、パブリックチェーンの持つ非中央集権化が共存するブロックチェーンです。
ブロックチェーンの取引には「記録」と「承認」というプロセスが存在します。
パブリック型では、プルーフ・オブ・ワークなどを通じてマイナーが取引記録の「ブロック」を生成します。
一方プライベート型、コンソーシアム型(パーミッションド)は、取引記録の生成や承認を行うことができるのは一部の管理者(ノード)に限られています。
パブリック型とプライベート型(パーミッションド)の最大の違いは、誰が取引の承認を担うのかという点です。これにより取引の処理速度、セキュリティーの違いなど大きく変わってきます。