2日目は海外のディベロッパー、アーティストを中心にオンラインでの開催となった。世界的にも注目されている企業のキーパーソンがNFTや、DAO、コミュニティの未来への議論がなされた。
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Speaker: Alex Salnikov (Rarible) / Kayvon Tehranian (Foundation) / Dannie Chu (MakersPlace) / Mai Fujimoto (MissBitcoin / モデレーター) & Minoru Yanai (Linker Inc. / モデレーター)
NFTアートのブームでサービスを大きく拡大した3社。NFTビジネスへの考え方に共通していたのは、コミュニティの重要性だった。
Kayvon氏は「現状のNFT業界はマーケットにフォーカスしすぎており、本来マーケットサイクルに無関係で有るべき」と述べ、Dannie氏は「NFTへのアクセスビリティ、NFTの信頼性、コミュニティ」の3つが大事な要素だと強調した。
NFTブームにより、大勢のコレクターがNFTアートを購入するようになったが、まだNFTをを扱う上でUI/UX上の使いにくさなどが課題として存在する。今後はそうしたライトユーザーが気軽に使えるべく、「コンテクスト」「履歴」「キュレーション」「UI/UX」が重要になっていくという。
そして、業界を発展させていく要素は「コミュニティ」であり、社会との繋がりが重要だとの認識が示された。また、デジタルオーナーシップのレイヤーの変化が、「ユーザー>プラットフォーム>コンテンツ」だったのを 「ユーザー>コンテンツ>プラットフォーム」の順番に変わったことが、NFTがビジネスに与えた大きな影響だと指摘された。
WAXプラットフォームでユーザー数を大きく伸ばしたエイリアンワールド。
現在その規模は利用者200万を超え急激に拡大している。エイリアンワールドの特徴はDAOにあるという。惑星の土地をマイニングして入手したTLSMトークンはガバナンストークンにも使え、惑星毎にユーザーから投票によって選ばれた統治者がマイニング報酬の配分をコミュニティで決定するゲーム。
エイリアンワールドのSarojiniさんは「DAO マイニング、分散コミュニティは素晴らしい。その結果急成長した。」と述べ、ゲームの発展はDAOの仕組みとコミュニティがあったからだと強調した。
今後についてはマイニングとステーキング機能を公開し、さらにDAOによる運営を発展させていきたいと述べた。
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Speaker: Sarojini McKenna (Alien Worlds) / Jeffrey Zirlin (Axie Infinity/Sky Mavis) / Matt Solomon (REVV Motorsport) / Sebastien Borget (The Sandbox) / Andrew Fai (DeStation / モデレーター)
世界的に人気のDAppsディベロッパーがDAppsの今後を占うセッションは、元レーサーのF1DeltaTimeでREVVを担当しているMatt氏、4000DAUを誇り、DAppsの中でも早くからDefiを取り入れ、東南アジアを中心に人気のAxie infinityのJeffrey氏、WAXブロックチェーンゲームプラットフォームで1日20万人が利用しているエイリアンワールドのSarojini氏、コインチェックNFTβとの提携でも話題になったTheSandBoxのSebastien氏によりDApps業界の現状とその未来について熱い議論が交わされた。
まずAxieのJeffrey氏は「DAppsにおいて遊んでお金を稼ぐ価値観が定着してきた」「ユーザーが求めているものが明確化してきた」と述べた。
この発言を補足すると、別のセッションでYield Guild Games(YGG)のGabby Dizon氏はYGGで行っているAxie奨学金プログラムが人気であり、参加者はAxieレンディングプログラム等でSLPをDeFiでEthereum等に交換していると強調し、「フィリピンでの月給程をAxieで稼ぐことができている人が出現している」と発言していたことがその理由だと思われる。
そういった需要があることと、具体的な議論ができる段階となってきたと指摘した。
またSarojini氏は、(NFTの注目により)クリプトに馴染みが無かった人たちの流入があったことと、NFTがDefiでの用途を持ち始めたとし、イノベーションが起きている最中であると意見を述べた。
Ethereumチェーンでのガス代高騰の問題は、ユーザーにとってNFTでの取引上の問題となっている。Axieではガス代の問題を解消するため、サイドチェーンに切り替えたことにより、取引量や、トレード数が大幅に向上したと延べ、また結果としてサイドチェーンが何であれ、ユーザー目線では分散性よりも使いやすいチェーンを選ぶ事がわかったとチェーンの切り替えによるメリットを強調した。
それを受けてSarojini氏は「ブロックチェーンのアーキテクチャにおいてはスケーリングは大事だと考えているが、ユーザーにとってチェーンは透明であるべき」と述べた。
NFTが注目されたが、まだDApps、ブロックチェーンゲームの注目度は高いとは言えない。それぞれがユーザー獲得にどういった方針で取り組んでいるかについてMatt氏は、「ユーザーのエンゲージメントを引き出すために大事なことは何かと考えて、有名なドライバー等を引き込んでユーザーの気持ちを引き寄せる事が大事かと考えている。」と述べた。
AxieのJeffrey氏はバイナンスでのIEOがユーザー数を大きく伸ばすきっかけだったとしながらも、「運営のビジョンをユーザーが理解していることが重要だと思っている。そうすることで、プレイヤーが友達に広める時にバイラルで広がりやすくなる。それがないとプロモーションに頼らざるを得なくなるので、リテンションが厳しくなる。継続率が厳しくなり長期的な成長が厳しくなる。」とコミュニティとユーザーの信頼を得ることの重要性を指摘した。
1日目に行われたセッションでも、DAppsが発展する為にはコンテンツを消費者が生み出しコンテンツ提供者側にもなれるUGC(User Generated Contentの略、ユーザー生成コンテンツ)がキーになるとの指摘があった。このセッションでもDAOについてUGCの重要性が指摘されていた。
Matt氏は、ユーザーをDAOの構造にどうやって巻き込むかが大事だと指摘し、それを受けてSecatstien氏は「プラットフォームの開発者、トークン保持者がメインプレイヤー。開発ロードマップの中でどのタイミングで分散運営に移行するかを示す事が大事。外の人がDAOのプロジェクトに関わってくることが大事」と述べた。
Jeffrey氏は、「コミュニティやプレイヤーが考えていることがコンテンツになる。ユーザージェネレイテッドなゲームが良いのではと思う。」とUGCがDAOの上では重要だとした。続けてSarojini氏は「DAOによってゲームの中の変数をユーザー同士で議論して調整することで、たまに(ゲームバランスが)壊れることもあるかもしれないが、それもDAOだと考えている。」と楽観的な見方を示し、DAOがコミュニティによって成長していく未来に期待を寄せた。
2021年はNFTが大きく注目された年になったが、同時にいくつかの課題も明らかになった。本イベントで、UI/UX、Ethereumのガス代高騰、NFT真贋証明、NFTの著作権、所有権、L2の技術的な課題、スケーリング、DAOによるコミュニティ運営などの課題が議論され、DAppsやNFTビジネスの展望が開けたのではと、個人的に感じた。
NFTが世間的に広く知られるようになり、先日もブロックチェーンゲームに関するガイドラインの制定がなされるなどのニュースもあり、日本国内でNFTの事業を行う下地が整ってきたと感じている。
https://news.blockchaingame.jp/1084
ブロックチェーンゲームを取り巻く状況は、3年前とは大きく異なってきた。
筆者としてはブロックチェーンゲームでのキラータイトルの登場が待ち遠しいのである。
Non Fungible Tokyo 2021
https://nonfungible.tokyo/ja/