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【インタビュー】ゲームクリエイター岡本吉起が手掛けるNFTゲーム「ちゃんごくし!」シリーズにかける思い。

【インタビュー】ゲームクリエイター岡本吉起が手掛けるNFTゲーム「ちゃんごくし!」シリーズにかける思い。

2024年3月26日、岡本吉起氏が率いるオカキチは「KUSOGeeeeee」プラットフォームとそれに連動するNFT(非代替性トークン)ゲーム「ちゃんごくし!」シリーズを発表しました。
今回オカキチの発起人である岡本氏とKUSOGeeeeeeプラットフォームの制作責任者の伊藤氏に、制作の裏側やプロジェクトの全容などをオンラインインタビューしました。

インタビューは2024年3月14日に行われました。

岡本吉起

ー: 最初に、お二人の自己紹介をお願いします。

岡本:岡本吉起と申します。ゲーム業界に42年従事し、『ストリートファイターⅡ』や『バイオハザード』シリーズ、『モンスターハンター』シリーズといったアーケードゲーム、コンシューマゲームでゲームクリエイターとしてゲーム業界に42年従事してきました。
2013年には『モンスターストライク』で携帯ゲームの領域にも参画しました。
今回のプロジェクトをゲームクリエイター岡本吉起の集大成としてNFTゲームに取り組んでいます。これを最後にデジタルゲーム制作から引退するつもりです。

伊藤:伊藤真彦と申します。現在、オカキチでCTOとして働かせていただいています。これまでの経歴としては、ゲームやウェブサービスの開発など、ゲーム以外の分野でも仕事をしてきました。
実は、過去の仕事で一緒に働いていた人物が、偶然にもオカモトさんと以前一緒に働いていたことがあり、その人の紹介で、今はオカモトさんと一緒に働く機会をいただいています。

ー: 「ちゃんごくし」の開発コンセプトやターゲットユーザー層について教えてください。

ちゃんごくし

岡本:タイトルの「ちゃんごくし」は「お姉ちゃん」と「三国志」を組み合わせたものです。このゲームでは三国志の登場人物をすべてお姉ちゃんに置き換え、それをNFT化しています。簡単に楽しめることを意図しており、NFTという難しい概念を身近に感じてもらいたいと考えています。ゲームはサクサク遊べるよう設計されています。皆さんが忙しい中でも気軽に楽しめるゲームです。

三国志がモチーフの理由

ー: ゲームのモチーフに三国志を選んだ理由はなんでしょうか?

岡本:これは、三国志の武将のそれぞれのエピソードなんかもゲーム内で見れるようになっていて、いろんなタイトルがあるんです。三国志そのものはこの歴史書ですが、三国志演義は小説じゃないですか。娯楽小説ですよね。そこにビジネス教本としての意味があると思っていて、そこを大事にしています。ちょっと勉強してくれると人生が豊かになると思っているんですよ。

それで、三国志をテーマにしました。そこでは、軽い気持ちで、「お姉ちゃん」のキャラクターから入ってもらい「この武将は誰だろう」と思って調べてもらうことで、興味を持ってもらえます。そして、人として、社会人として少し成長してくれたら嬉しいなと、そういう思いがあって、このテーマを選ばせてもらいました。
できるだけ参入障壁を下げて、でも中身は奥深い感じがあり、その奥深さを体感してもらえるといいなと思っています。

最初は簡単に楽しめるゲームを提供し、徐々にその深さを増していきたいと考えています。初めは特にNFTに興味のあるユーザーをターゲットにしていますが、その魅力が認識されれば一般のゲームプレイヤーにも広がっていくと考えています。

収益性と楽しさのバランスについて

ー:ユーザー層のイメージを少し具体的にお聞き出来ますでしょうか。

岡本:NFTに興味のない人を対象にするのは難しいと考え、NFTを投機目的で購入し、利益を得たいと考えている人が最初のターゲットだと考えています。

これまでNFTの扱い方がわからなかった人々に対しては、当ゲームはある程度面白く、かつNFTの価値が下がりにくいということを売りにしています。このWeb3ゲームの基礎を作る試みだと位置付けているので、そこに注目してほしいと思います。

そして徐々に、一般のゲームプレイヤーにも広がっていってくれればと考えています。最初はNFT投機目的の人へアプローチし、次第にゲームプレイヤー層にも広げていく、そういう展開を描いています。

ー:  今回の「ちゃんごくし」の場合、専用のトークンは発行される予定はありますか?

岡本:トークンの発行は一切予定していません。これが最も議論になった部分ですね。
最初は、NFTの価値を安定させるためにはトークンが必要だと考えていました。しかし、NFTの価値がトークン価格の上下に左右されすぎてしまうのが問題でした。みんながトークンを重要視し、運営会社がトークンを発行するのは一般的です。しかし、1トークンの価格が10円の時もあれば100円の時もあり、私たちではコントロールできません。100円だった価格が翌日には10円になる可能性もあります。そうなれば、このNFTゲームをプレイするユーザーが損をする恐れがあります。
そこで、トークンとは一切連動させず、私たち自身もトークンを発行しません。代わりに、NFTの価格を意図的に日本円とのみ連動させることにしました。

ー:  ビジネスとしてどこで成り立たせようとしているのでしょうか?

岡本:正直に言うと、ビジネスとしてはほとんど成り立たないのではないかと思っていますが、これが正しいルールだと信じているので、そのための足掛かりになればいいと考えています。

私たちは大儲けすることを目的としていないのですが、運営費用ぐらいは出してもらいたいと思っているので、ゲーム内課金は用意しています。

ただし、めちゃくちゃ課金しなくても、NFTの武将をそのまま他のシリーズのゲームにも持っていけるようにしています。例えば、1番目のタイトルに曹操を持っていた場合、2番目や3番目のタイトルでも曹操が使えるようになります。

一方で、NFTを買っていない人には無料でも遊べるし、課金して楽しむこともできます。とにかく、自分たちが最初に儲けるルールを作りたくなかった。

正直に言うと、ユーザーを最優先に考えるべきだと思っています。その考えに基づいて、儲からないビジネスモデルを作ってみました。このモデルをめぐっては、チーム内で激しい議論がありましたが、私たちはこれが正しい道だと信じています。

岡本流「仕事の流儀」

ー: なぜ大きく儲けないという方針をとったのでしょうか?

岡本:まず1つ目が、ビジネスモデルは損して得取れだと思っています。

大阪の商人として、最初の客が儲かれば、結果として自分のところに戻ってくると学んできました。顧客満足度が高ければ、その店が繁盛すると確信しています。大阪のビジネス方法を踏襲しているのが第一の理由です。

いつまでも損のままでいるつもりではないですが、ただ、最初に運営側が儲けるというルールにしたくないのです。そうしないと焼け野原になると思うんです。そんなことをすると、もう誰もNFTに期待しなくなります。だから成功体験をさせたいと思いました。これが二つ目の理由ですね。

一歩早く踏み込んだのだから、ちょっと早めに儲かったと言ってほしいのに、その人たちが一番損をするとはかわいそうだと思っています。この焼け野原の中に一輪でも二輪でも花が咲くように、一本でも花が咲くようにしてあげたいということから、今回のシステムにしました。

ー:今回の「ちゃんごくし」や、これから出るゲームにおいて、岡本さんならではの面白さをどのように表現しようとされているのでしょうか?

岡本:この質問は伊藤くんに答えてもらうのがいいかなと思っています。

伊藤: そうですね。目指しているのは、ブロックチェーンゲームでも面白いゲームを作りたいということです。ブラウザゲームではなく、ちゃんとiOSやGoogleのアプリから出るという点もその狙いの一つになっています。ブロックチェーンゲームとしては、技術が先行していて、面白くなくても流行るかもしれないという風潮がありましたが、それらは、ある種の社会実験や仮説を持って作られたゲームが多いのではないかと感じています。それによって、ゲーマー層の人たちがかなり失望していると感じています。

僕らは元々ゲーム作りをしている会社なので、ゲーム業界で育てていただいたという自覚があります。そのため、ゲーマー層の人たちが失望しないクオリティに必ず到達したいと考えています。ブロックチェーンゲームはつまらないと思われがちですが、面白いものが出てくれば喜んでいただけるはずです。

岡本: ちょっと補足してもいいですか。僕はゲーム作りの基本に、4つのポイントを置いています。

「聞いてオモロイ」、「見てオモロイ」、「遊んでオモロイ」「繰り返してオモロイ」です。

【注釈】
聞いてオモロイ: 相手に伝えた時に、面白そうと感じられるもの
見てオモロイ: 企画書でもCMでも、見た時に面白そうと思うもの
遊んでオモロイ: 実際にプレイしてみて面白い(あたりまえ)
繰り返してオモロイ: 上達したいために繰り返しても面白いと感じる、
誰かが攻略したものを真似ても面白いと感じるもの(ゲーム実況など)


ちゃんごくし!

「聞いてオモロイ」というのは、NFTを使った三国志をテーマにしたゲームのプラットフォームを作っているという話題のことです。「オカキチがそんなことをやっている」と言われると、ちょっと面白そうじゃないですか。「え?何それ?ちょっと気になるね」とみんなが思ってくれるでしょう。しかも、その話を聞いたときに、「ゲームが面白そうかどうかはわからないけど、儲かるって言ってたよ」と。このゲームで遊んだら儲かるかもしれない、というところを聞いたら、ちょっと興味をそそられるじゃないですか。

「見てオモロイ」は、でも「三国志だよね?」と言って見に行ったら、ミニスカートのお姉ちゃんがずらっと並んでいる。「ちょっと、思ってたんとちゃうやん」と面白そうですよねと。

「繰り返してオモロイ」ですが、「ちゃんごくし!」は簡単に遊べるように作られていて、難易度は低めです。繰り返し遊べば遊ぶだけゲーム内の武器などが強化できます。それをNFTにしてまた売ることが可能です。

みんなが私の言っている条件を踏まえてゲームを作っているので、全体的にいいゲームになっているんじゃないかなと思っています。

KUSOGeeeeeeプラットフォーム

https://kusogeeeeee.com/

ー: 「KUSOGeeeeeeプラットホーム」の名前の由来を聞かせていただいてもよろしいですか。非常に気になっています。

岡本:ある海外の格闘ゲームの大会で、とんでもない大逆転が起こった場面で「ありえねぇーー!!!!」というニュアンスで「KUSOGEEEEE!」と叫んだ実況者がいてバズったんですが、それを強烈に覚えていて…、ありえないことをかっこよくやりたいと思っている僕たちに重なったんです。「イッツ・クール!」よりも良くないですか?だから、「最高にいいゲーム」という風に訳していただいたほうがいいかなと思っています。忘れにくくて、インパクトもありますし。

伊藤:補足しますと、実際に「KUSOGeeeeee」という名前に決まってから、同僚から「伊藤さん、本気ですか?」と言われました。そこで、「わかりました。」ということで、一応「KUSOGeeeeee」じゃない名前を50個ぐらい出して、並べて、これとKUSOGeeeeeeを見比べてみようという会議を開いたんですけれど、名前のインパクトがあまりにも「KUSOGeeeeee」が強かったので、50個ぐらい代案を考えても勝てなかったんです。

ー: 面白いですね。 「ちゃんごくし!」シリーズは海外展開を念頭に置いて開発されているのですか?

岡本:いえ、最初は国内向けにやろうと思っています。言語対応が大変なので、
あと、コインを発行していると日本では法的な問題があったりするので、海外でということを考えなければいけませんが、私たちはコインを発行していないので、誰でもウォレットを持っていれば普通にNFTを交換できますし、特に海外に出る必要もないのです。そして、「ちゃんごくし!」の「ちゃん」が日本語なので、なかなか難しいです。三国志を知っているのは中国、韓国、日本、台湾、ベトナム、シンガポールぐらいなので、もしやるとしてもまずはアジアですね。

ー: 「ちゃんごくし!」シリーズの2本目、3本目といった展開予定について、もし何か想定していることがあれば教えていただければと思います。

岡本:本当は全部説明したいところなのですが、現在は開発に苦戦しているところもあります。今はその前倒しをできないかと必死で考えています。武将に関して言えば、いろんな武将でNFTを売っていくのですが、その武将がそれぞれのゲームの中で活躍していきます。
こっちではエースだったけど、こっちではほぼサブということもあれば、こっちでサブだったらこっちでは急にエースになるということもあります。

NFTの価値が下がらないようにするため、みんなでアイデアを出し合いました。例えば、ある人気ゲーム「A」で獲得したアイテムは、そのゲームの人気が落ちると使えなくなり、価値が下がってしまいます。しかし、人気ゲーム「B」のアイテムは値段が下がりません。

そこで、ユーザーに損をさせたくないという前提から、購入したNFTを次のゲームでも使えるようにする方針を立てました。同じNFTを複数のゲームで活用できるようにすれば、価値が維持できるからです。

この考え方は、今回発売されたNFTの価格設計にも反映されています。一般的に価格の比較対象となるのはガチャですが、「ちゃんごくし」にもNFTゲームにもガチャ要素が存在します。価格設計の際には、このガチャ要素も考慮に入れられています。

例えば最近発売したNFTの価格は3000円、2万円、50万円と設定しています。価格設定は誰が決めたかというと、最終的には私たち全員で話し合い、決定しました。3000円というのも、一緒に話し合って生まれた価格です。

伊藤:実は最初は2万円から3万円の間で考えていましたが、最終的にはより多くの人に手が届きやすい3000円という価格に落ち着きました。

50万円は、もっとハイエンドなユーザー向けです。最初は、市場を考慮してもう少し高価な価格設定にしようと考えていましたが、最終的にはユーザーがどう受け取るかが最重要だと思い直しました。その結果、多くの人に試してもらうためのお試し価格として3000円を設定しました。それにより、NFTを手軽に体験してもらえる価値があると判断しました。

ユーザーフレンドリーなプラットフォームを目指して

ー: 今後の国内のブロックチェーンゲーム市場についてどのような考えをお持ちですか?

伊藤:そうですね、現在のブロックチェーン市場において、オカモトさんが描いているビジョンを実現するためには、既存のブロックチェーンや仮想通貨のサービスが複雑すぎると感じていて、どうしたら簡単になるかを考えています。

その結果、大胆な決断をして、仮想通貨を使用しないことにしました。ブロックチェーン業界ではマスアダプションという言葉がよく使われますが、そのマスアダプションを目指す人たちにも勝てるような、アクセスしやすい位置に私たちのプラットフォームがあることが目標です。入りやすく、そして、損をさせたくないのです。

岡本:リスクは多少あってもいいと思います。しかし、あまりにもハイリスクだと、0.5パーセントの人だけが利益を得る一方で、99.5パーセントの人が損をするというのがこれまでのNFTゲームでした。

それはシステムの問題です。もしシステムを変えれば、例えば50対50の確率で、または70パーセントの人が利益を得て、30パーセントが損をするという状況になれば、業界として健全に機能すると思っています。私は、将来的にNFTやブロックチェーンが一般化すると信じています。

そのときには、日本円を持っているのと同じくらいの安定感をブロックチェーンやNFTにも感じてほしいです。長く遊べば、投じた時間が少しでもお小遣いに変わるようなシステムを作りたいと思っています。今が大きな分岐点だと感じています。

ー: 最後に読者に向けて一言お願いいたします。

岡本:今までブロックチェーンや仮想通貨に難しいという印象を持っていた方も多いと思いますが、私たちが今回リリースした「KUSOGeeeeeeプラットフォーム」は、その印象をガラッと変えるものです。ゲームは面白く、また、お金も適度に儲かるシステムを導入しています。たくさんの人が参加して遊ぶことで成り立つように設計されています。誰も来ない、あるいは参加者が非常に少ない場合、この計画は成功しません。
ですので、多くの人々の支持と参加と応援をよろしくお願いします。

changokushi Dapps

ちゃんごくし!結魂しよう

「ちゃんごくし!結魂しよう」は、岡本吉起氏が発起人となったオカキチによるオリジナルNFTゲームシリーズです。このシリーズは、三国志演義をベースにしたゲームで、岡本吉起氏流の三国志を表現しています。2024年内には続々とゲームのリリースが予定されており、ブロックチェーン技術を活用しながらも、無料で手軽に楽しめる点が特徴です。

◾️ゲーム内容

シリーズの第一弾「ちゃんごくし!結魂しよう」は、オートバトル形式で進行するゲームで、「ポチポチゲー」として手軽に遊べる設計になっています。このゲームは特にNFTゲームの入門として適しており、NFTに馴染みのない方でも気軽に始められるようになっています​。

オカキチが開発した国産NFTプラットフォーム「KUSOGeeeeee」上で展開されます。シンプルながらゲーマーにとってわかりやすいプラットフォームが特徴で、NFT武将を購入し保持することで、「ちゃんごくし!お姉ちゃん三国志」シリーズの複数のゲームで同じキャラクターを使用できるようなシステムが導入されています​。
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◾️基本情報
ゲームタイトル: ちゃんごくし!結魂しよう
ジャンル: ローグライト系バトルRPG
互換性: Android/iOS
価格: 基本プレイ無料
開発状況: シリーズ第一弾タイトル「ちゃんごくし!結魂しよう」事前登録開始
P2E: 対応
ブロックチェーン: 「KUSOGeeeeee」プラットフォーム
NFT: 「NFT武将」
提供/開発: オカキチ

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