「dApps Gameから見るパブリックチェーン業界」というタイトルのイベントに参加してきましたので報告します。
レポートの内容はマイクリプトヒーローズに関する話に限定させて頂いています。
■開催日時・場所
・2019/3/4(月)19:00-21:00
・会場 丸の内VACANS
■発表者
玉舎 直人 氏
(double jump.tokyo COO)(「My Crypto Heroes」プロデューサー)
マイクリプトヒーローズは、double jump.tokyoという会社が運営しており、ブロックチェーン技術を使ってゲームの未来を再定義することを目的としている。
ブロックチェーンの技術によりエコノミー形成が可能となったが、ブロックチェーンゲームというものが定義されている状態ではなく、新しいカテゴリーが出来た段階である。
昨年、リリース前のバトルβでは技術面を確認した。
イーサリアムではゲームがまともに動く状態ではなく、150くらいのトランザクションでイーサリアムのネットワークが動かなくなったので設計を改める必要があった。
2019年2月13日から、ランドのプレセールを行い、1ランド500ETH(当時のレートで約800万円)で販売を開始した。
売れるか不安な面もあったが申込者も想定より多く、4つのランドを適格審査の上、抽選して販売した。
購入者の3名は日本人の方、1名はシンガポール方であり、また4名の内、2名が個人、2名が事業者であった。
ランドのクラウドセールでは、プレセールの販売価格の2倍からスタートして、
ダッチオークション形式で販売し、結果として全体の80%のランドセクタ(区画)を購入いただいた。
プレセールとクラウドセール、合わせて5,000ETHが販売された。
ランド販売が完了して、目標に掲げていたエコシステムが完成し、本日(3/4)から本格的にスタートした。
2019年2月末の時点の数値では、ユニークユーザー数3万人、DAUは5,000となっている。
ブロックチェーンの市場はまだまだ小さく、ソーシャルゲームと比較すると2ケタくらい下のマーケットといえる。
しかし、マイクリプトヒーローズは従来のブロックチェーンゲームと比較した場合、かなりいい数値を出しているので、突破口のようなかたちにはなったかと感じる。
日本と海外のユーザー比率は、日本が7割、海外3割である。
バトルβの時は5;5であったが、日本のシェアが高まったのは年末年始のCMなど、日本向けに広告を打ったためである。
日本ではDappsやブロックチェーンのゲームに関心がある層には、ある程度届いたと感じる。
ユーザーが所有しているアセットを中心に、ゲーム内通貨(GUM)とイーサリアム、ゲームの中で獲得できるCrypto Energy(経験値)を通貨のように流通させることが、マイクリプトヒーローズのエコシステムの骨格となる。
一見、MMORPGなどのゲームによくある仕組みと思われるかもしれないが、マイクリプトヒーローズのキャラクター、アイテムはゲームを運営している側ではなく、ユーザーに所有権がある点で異なる仕組みとなっている。
そして、外部のゲームアセットなどを売買するサイトで、ユーザー間で自由に売買できる。メルカリみたいなサービスであり、基本的にイーサリアムで取引されている。
イーサリアムのエコシステムの中に、マイクリプトヒーローズがある。
ゲームアセットをユーザーが外で売買するシステムが、従来のゲームとは根本的に異なる分散型のエコノミーシステムである。
マイクリプトヒーローズのエコシステムのモデルは江戸時代の「士農工商」をモデルとしている。
・士
ゲームの中でバトルをして勝つことを目指す。
・農
ノードというゲーム内の場所をプレイすることでアイテムを手に入れることを
目指す。レアなアイテムは自分に所有権があり外部のサイトで売買も出来る。
・工
ゲーム内にアートエディットという機能があり、キャラクターの外観を自分で
変えられる仕組みとなっている。
替えたヒーローの画像をAIが判定して、一定の法則で、技やキャラクターの
パラメーターが変わる。自分で付加価値をキャラクターにつけることが出来る。
・商
トレーディングをして、ゲームで稼ぐことを目指す。
稼ぐという点が従来のゲームと異なり、マイクリプトヒーローズのエコシステムの
根幹となるモデルである。
人が介在して、複雑なエコシステムをまわしていることが、今のマイクリプトヒーローズのエコシステムである。
マイクリプトヒーローズのユーザーが書いた記事に、“優しさがつなぐブロックチェーンのエコシステム”という記事がある。
記事を書いたユーザーは、サービス開始の初期からのプレイヤーであり、ゲームの普及のために自分のイーサリアムを無償で配ることをしていた。
これからゲームを始めるユーザーを支援しようと呼びかけ、賛同する人たちが集まり、運営が関わらないところで、ユーザーの自発的な行動によって行われている。
ブロックチェーンのエコシステムがもたらすものは、技術、経済という点もあるが、人の進化であるかもしれないと感じることもある。
ユーザー同士が支援し合い、Dappsに適応していくことが出来るのではないかと思う。
人類にはまだDappsは早いが、ゲームは無料で始めることができ、少額の投資でも稼げる可能性がある。仮に稼げなくても、手に入れたアセットは自分のものになる。
そのような体験から、Dappsを社会に適応させることが出来ればと考えている。