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2018年の仮想通貨市場とトークンの価値について

2018年の仮想通貨市場とトークンの価値について

2018年の仮想通貨市場は年間において下落の一途を辿りました。仮想通貨はバブルであったのか、価値は適切であったかなどについて話したいと思います。

2018年の仮想通貨市場とトークンのバリュエーションに関する考察

2018年の仮想通貨市場は下落の一途を辿り、仮想通貨の代表格であるビットコインは最高値から大きく下落し、ビットコイン以外の仮想通貨もほとんどは最高値から大きく値下がりした。
その為、大きく損失を計上した投資家や、仮想通貨・ブロックチェーン領域から撤退する企業、プロジェクトが相次いだ。
2018年の仮想通貨市場は下落の一途を辿る相場となったが、価格が大幅に上昇した2017年の年末から、2018年の年初は投機面が過熱し過ぎたといえるだろう。
仮想通貨の歴史は浅く、そもそもトークンの価値は適切であったのか、投資家が価値を算定出来ていたのかは疑問である。
ここでトークンの性質を基に、トークンの価値を算定する方法について考えたい。

トークンの性質について

・決済トークン
・セキュリティトークン
・ユーティリティトークン

代表的なトークンは上記の3つに分類されると考えており、他にはガバナンストークン、リワードトークンなどのトークンがある。

特に2018年で下落幅が特に大きいものは、ユーティリティートークンであった。
ユーティリティートークンとは有効性、実用性があるトークンのことで、定義は広く、サービスを受け取る代わりにトークンを消費するモデルが当てはまる。
ユーティリティートークンの代表格はイーサリアムであり、イーサリアムの規格の一つであるERC20が使われているトークンも多く、ICOのプロジェクトで発行されたトークンのほとんどはERC20をベースに作られたトークンである。

ユーティリティトークンの価値算定について

ユーティリティートークンはそれぞれのネットワークの中で有効性・実用性があるトークンである。トークンの価値の算出として、貨幣数量説に基づき推計する方法をCryptoassetsのcrypto researcherであるChris Burniske氏が発案した。
トークンの理論価値の推計は以下の式で表される。

ここでいうM(ネットワークの規模)とは、トークンの流通範囲内の経済価値を表し、Mを発行済トークンの総量で割ると、1トークンあたりの理論価値が算出できると、仮説を立てることが出来る。
また、V(トークンの流通速度、支払いサイクル)が小さいほど、Mが大きくなり、トークンの価値が上がるということになる。

上記図式のP(提供するサービス価格)×Q(サービスの利用回数、数量)については、例えば1,000円のサービスを10回利用すると10,000円になるということであるが、
V(トークンの流通速度、支払いサイクル)の概念が解りにくいので説明する。
例えばユーザーが保有しているトークンをサービスの支払いや交換に使うケースで考えた場合、年間の時価総額を計算する場合では、1年に1回トークンを使用すれば、トークンの流通速度は1となり、1年に2回使用すれば、流通速度は2となる。

この理論ではトークンをユーザーに使わせないようにすることが価値向上に繋がるが、Vを正確に測定することは難しい。
特にトークンを利用したプロジェクトは多種多様であり、ブロックチェーンの性質を考えると尚更である。

この算出理論は貨幣数量説に基づいた理論であり、全てのトークンの価値算出に当てはまることは出来ないが、ユーティリティトークンの価値推計のロジックとして有効であると考える。

クリプトJカーブ理論

Chris Burniske氏は上記の価値算定モデルの他に、利用価値のあるトークンについては、※ Jカーブ効果、に似た価格形成をするという理論であるクリプトJカーブ理論を提唱している。

※ Jカーブ効果とは 

クリプトJカーブ理論の基本的な考え方は、現在のトークン価値と、将来のトークン価値を基に、価値を算定する方式である。

  ・CUV Current utility value 現在のトークン価値
  ・DEUV discounted expected utility value 将来のトークン価値

上記の図、CUV / DEUVのHigh%、low%はトークン価格におけるそれぞれの割合を示している。
クリプトJカーブの初めの上昇はCUV(現在のトークン価値)の割合が低く、DEUV(将来のトークン価値)の割合が高い。
この傾向は2017年に起こった仮想通貨全般の上昇傾向にも見られ、将来の期待感が先行して価値が上がったものと考えられる。

そして、時間の経過とともにDEUVは減少し、トークンの価格におけるCUVの割合が高くなる。市場が弱気相場であればDEUVの価値は無く、CUVのみの価格となり大幅に価格が下落する。まさに2018年の仮想通貨相場がその最たる例であると考える。

上記の図は2013年の初めから2017年中旬にかけてのビットコインの価格推移表である。
市場が強気相場となるとDEUVは急速に拡大し、価格は急上昇するが、やがて弱気相場となるとDEUVは落ち着き、CUVの割合が高い価格帯に戻る。
ビットコインの歴史はまだ短く、この繰り返しであるが、大切なことはビットコインを使用するユーザーが増え、CUVの価値が上がることである。
CUVの上昇にマーケットが気付き始め、期待が再び高まると価値は過去最高まで高まるであろう。

2017年の仮想通貨市場(特に年末頃)DEUVが拡大した一種のバブル相場になった。
これは、日本では仮想通貨のテレビCMが流れ、一種の流行語となることで普段投資に興味がない顧客層が大勢参加した為であると考える。
2018年の仮想通貨市場は下落の一途を辿っているが、今後の相場回復の為に重要なことはトークンの価値や実需に基づく利用であり、そこにDEUVが高まると再び相場は上昇局面を迎えることになると考える。