ArribaX 2022 supported by NewsPicks Studiosピッチイベントレポート
Web3ペイメントサービスの「Slash」が12月5日に開催された「ArribaX 2022 supported by NewsPicks Studios」のピッチイベントにて最優勝賞と特別賞をダブル受賞したと発表した。
「ArribaX 2022 supported by NewsPicks Studios」はArriba Studioが主催でNewsPicksが共済の日本発でグローバルに挑戦するweb3スタートアップのためのピッチイベント。
事前応募の中からファイナリストに選ばれた5社(DMTP、あるやうむ、Slash、Drives、Bunnz)がピッチを行った。
Web3サービスでは、暗号通貨やスマートコントラクトなどのブロックチェーン技術を活用して、新しいビジネスモデルやサービスが模索されている、いずれのスタートアップも、ブロックチェーンを利用した新規性の高いWebサービスの構築を行っており、Web3界隈の注目が高いプロジェクトがファイナリストに選ばれた。
審査は以下の方々がオンラインからも審査員として参加し行われた。
審査委員(決定順)
Lucheng Li (Z Venture Capital)
Takashi Fujishima (Jump Crypto)
Hironobu Ueno (double jump.tokyo)
Richard Zhang (DST Global)
Akio Tanaka (Headline Asia)
Suji Yan (Mask Network)
Gen Kanai (Animoca Brands)
Emi Yoshikawa (Ripple)
Takashi Sato (Arriba Studio)
MC : Ayana Kizaki (NewsPicks Studios)出典 : x.arriba.studio
最初にBunnzのMiyasska氏のピッチ。Bunzzは、DApp開発プラットフォーム。ブロックチェーンへのデプロイもBunzzからシームレスに実行でき、Web3サービスの開発者にとって利便性が高い機能を備えていて、エンジニアの痒いところに手が届くサービスとして東南アジアでユーザーを拡大している。
WEB:https://www.bunzz.dev/
Twitter:https://twitter.com/BunzzDev
Discord:https://discord.com/invite/rjfvZzDEaN
slashはWeb3ペイメントサービス。本ピッチで優勝と特別賞をダブル受賞した。サービス内容は後述したので、そちらを読んでいただきたい。
WEB:https://slash.fi/
Twitter:https://twitter.com/SlashWeb3
Discord:https://discord.gg/gk25cyBs78
審査員からは時折、鋭い質問も投げかけられ、忖度を感じないピッチであると感じた。
DRIVEZは英語学習に特化したLearn2Earnプロジェクト。従来のEdTechにweb3を絡めることで金銭的インセンティブによる学習の継続が期待できるとしている。暗号資産に馴染みが無いユーザーにも使用してもらえるようなインセンティブプログラムを提供するのも大きな特徴だ。
DMTPは「Web3のコミュニケーションのインフラを整える」というコンセプトの元、ウォレットアドレスベースでメッセージのやり取りができるプロトコルを開発している。
今回優秀賞を獲得した。
WEB:https://www.bunzz.dev/
Twitter:https://twitter.com/BunzzDev
「あるやうむ」は自治体向けにふるさと納税NFTや観光NFTを発行するプロジェクト。ブロックチェーンゲームのクリプトスペルズとコラボし、ゲームで使用できるNFTの返礼品を提供するなど、地方創生のNFT活用を進めている。
WEB:https://alyawmu.com/
Twitter:https://twitter.com/alyawmu
「2023年、Web3スタートアップは大企業とどう連携すべきか〜大企業の脳内と具体的なラブコール〜」と題したトークセッションが行われた。2023年の展望というお題に対して、大和証券のSaito氏はゲーム関連プロジェクトへの勉強と理解を深めると述べた。博報堂のUrushiyama氏はトークンファイナンスは難しいとしながらも、PlaythePlayのようなスポーツNFTプロジェクトは実施していくと話した。バンダイナムコのMatsubara氏は、大手の各ゲーム会社が取り組んでいるブロックチェーンプロジェクトを意識しているので、2023年は具体的なものを出す動きになると思うと語った。
2023年は大手各社が大きく動きだす年になりそうな期待を感じたトークセッションとなった。
世界各地で活動している日本人の若手Web3起業家たちの海外生活事情や、クリプト法律面の特徴など生の声が聞けるトークセッション。
PENTAのTsutsumi氏は「その国のカルチャーとコミュニティーは大切にした方がいい」とアドバイス。参加者の共感を得ていた。
Stake TechnologiesのIshikawa氏はアムステルダムで仕事をしている。Astarはヨーロッパ時間で働いているので、海外にいるスタッフとの時差に困っていたと話す。そこで、最適な場所を選んだ結果、アムステルダムで、7−19時で働けるようになり、ようやく人間らしい生活を過ごせるようになったと話した。
BOBGのMasuyama氏は、シンガポールは家賃が高く、一人用の部屋でも2、30万かかるので、シェアルームが一般的だと話した。また娯楽が少ないので、サウナが近くにある部屋を探したそうだ。氏はストレスを発散できる手段を確保する事も大事だと語った。
Arriba StudioのTamaya氏から「海外で起業を考えている人へのアドバイスはありますか?」との問いでは、「テクノロジーならEU、コンテンツはアメリカ、B2Bならシンガポール」だと思うので、どの領域をやりたいかで選択する国もかわるとIshikawa氏が答え、クリプトグローバルに頭を切り替えるには海外に行く事がは手っ取り早い方法と述べた。
Slashは暗号資産での支払いを可能にするペイメント・ソリューションで、ECサイトや実店舗への導入を加速しているスタートアップ。
2022年中に導入数を100店舗に成長させることを目指しており、今後はクロスチェーン決済対応に向けた検討を行っている。
対応するチェーンはEthereum(ETH)、BNB Chain(BNB)Polygon(Matic)、Avalanche C-Chain(AVAX)他主要なトークンに対応している。また、様々なDEXの分散型流動性を利用したトークン決済システムとなっており、Uniswap V2やいくつもの分散取引所に対応している事も特徴だ。
現在「Slash Web3 Payments」以外のプロダクト開発も進めており、
「Slash.Genesis」ではSBT※を活用したKYCソリューションとロイヤルカスタマー向けサービスを開発している。
「NFT Vault」では保有しているNFTに暗号資産を預け入れることのできる新規性の高いプロダクトとなる。
将来的には「NFT Vault」を活用し、NFCを通じた暗号資産決済の実現も視野にいれており、2023年には、Slashエコシステムのトークン発行や、シリーズAの資金調達やトークンのローンチを予定している。
今回のピッチに優勝したことでNewsPicksで人気のライブ経済情報番組「The UPDATE」に、「Slash」CEOのSato氏がピッチイベント入賞を記念して出演している様子が2023年1月に公開される予定だ。
https://newspicks.com/movie-series/10/
またArribaX 2022ピッチイベントの特設サイトがあり、ファイナリストに上がった企業へのインタビューなど掲載されているので、合わせて読んで見てほしい。
イベントWEBサイト:https://x.arriba.studio/
イベント特設WEBサイト:https://medium.com/arriba-studio
Twitter:https://twitter.com/arriba_studio
※SBTとはSoulBound Token(ソウルバウンドトークン)のこと。魂に紐付けられたトークンという意味で、ヴィタリック・ブテリン氏が2022年5月に発表した論文「Decentralized Society: Finding Web3’s Soul」内で提唱された。本人を認証するNFTとしてウォレットに紐付けられ譲渡不可のNFTとして卒業証明や、支払い証明などブロックチェーン上の本人認証の仕組みとして注目されている。
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4105763