『Persona Journey』『Ultimate Champions』を手がけた仏Unagi Studioが裁判所の命令で清算手続きに。IP・NFT・UNAトークン関連契約が11月2日締切で売却対象となる。Blur、Abstractに続く2026年のWeb3撤退ラッシュの実態と、NFT・トークン保有者への影響を整理する。
人気ブロックチェーンゲーム『Persona Journey』『Ultimate Champions』を開発・運営してきたフランスのWeb3スタジオ Unagi(本社:フランス・サン=マンデ)が、現地裁判所の命令により清算(司法清算)手続きに入ったことが明らかになった。IP、957点のNFTコレクション、独自トークンUNAに関連する契約など、同社の中核資産が2026年11月2日を提出期限として売却対象に出されている。2026年に入ってから相次ぐWeb3プロジェクトの撤退——Blur、Abstractに続く3件目の大型案件として、業界に衝撃が走っている。
Unagiは、レトロアニメ調のオリジナルIPを展開する『Persona Journey』や、スポーツ選手NFTを扱う『Ultimate Champions』など、複数のWeb3タイトルを世に出してきたフランス発のゲームスタジオだ。独自トークン「UNA」を軸に、NFT収集・対戦・報酬獲得を組み合わせたエコシステムを構築し、グローバルで一定の支持を得てきた。
今回判明したのは、クレテイユ商事裁判所による「司法清算(liquidation judiciaire)」の決定である。フランスの会社法制上、司法清算は再建の見込みがないと判断された企業に対して裁判所が下す強制的な手続きで、任命された清算管財人(liquidateur judiciaire)が会社資産の売却と債権者への配分を主導する形になる。
法定公告サイト「annonces-legales.lefigaro.fr」にも手続き開始が掲載されており、同社の経営はすでに創業者・経営陣の手を離れている。SNS上では公式アカウント『Persona Journey』『Unagi Studio』が相次いで状況を告知し、ユーザーに対する説明に追われている状態だ。
清算管財人の監督下で公表された売却対象には、Unagiが保有していた以下の資産群が含まれるとされる。
・『Persona Journey』『Ultimate Champions』を含むゲームIPおよび関連知的財産
・957点のNFTコレクション(運営側保有分)
・独自トークン「UNA」に関連するスマートコントラクト運営権および関連契約
・X・Discordのコミュニティアカウント
買い手希望者からの提案(offre de reprise)提出期限は 2026年11月2日 に設定されており、短期間での引き受け手探しとなる。IP・NFT・トークンといった無形資産が個別に取得可能な形で売り出される点はWeb3業界でも極めて珍しく、法的な前例が乏しいだけに、落札者が決まったあとの運営方針や既存ユーザーへの対応がどうなるかは不透明だ。
日本の読者が最も気になるのは、「保有しているNFTやUNAトークンはどうなるのか」という点だろう。整理すると、論点は3つに分かれる。
まず、ウォレット内のNFT・トークンそのものは、ブロックチェーン上に記録されたオンチェーン資産である。Unagiが清算されても、保有者のウォレットから勝手に消えることはない。この点は不幸中の幸いと言える。
一方で、NFTの「価値」や「ユーティリティ」はサービスの継続性に大きく依存する。『Persona Journey』『Ultimate Champions』のゲームサーバーが停止したり、公式マーケットプレイスが閉鎖されたりすれば、NFTはゲーム内で使えなくなり、二次流通市場での需要も急速に失われる可能性が高い。UNAトークンについても、公式のステーキング、バーン、報酬配布といった経済設計が停止すれば、価格・流動性の両面で深刻な影響を受ける。
さらに論点となるのが、IPを引き受けた新しいオーナーが現れた場合の扱いだ。買い手がNFT保有者のユーティリティを引き継ぐかどうかは法的に保証されておらず、契約上は「新会社による新サービス」として位置付けられる可能性が高い。既存NFTの価値を維持したいなら、買い手側に明示的な引き継ぎを求めるコミュニティの動きが不可欠になるだろう。
今回のUnagi清算は、単独事案として見ると驚きが大きいが、2026年のWeb3業界全体の文脈に置くと「構造的な調整局面」の一コマとして位置付けられる。
2026年に入ってから、NFTマーケットプレイス大手の Blur が主要機能の縮小・事業再編を発表し、Ethereumレイヤー2の Abstract も12月15日でのチェーン停止を発表している。そしてゲームスタジオ側では、今回のUnagiが大型案件として清算に至った。トレーディング、インフラ、コンテンツと、Web3の主要レイヤーそれぞれで撤退・縮小の動きが連続している構図だ。
背景には、2024年のミームコインバブル以降、NFTやブロックチェーンゲーム領域への資金流入が鈍化していること、ベンチャーキャピタルからの追加調達ハードルが大幅に上がっていることがある。UnagiのようにIPとトークンの両輪を回すスタジオは、ユーザー獲得コストとトークンインセンティブの維持コストが同時にのしかかるため、ランウェイ(資金余力)の管理が極めてシビアになる。
Unagiの事例は、日本のWeb3ゲームユーザーにとっても他人事ではない。保有するNFTやトークンが「運営企業の継続性」という前提に強く依存している以上、同種のリスクはあらゆるプロジェクトに存在する。
実務的に取れる対応としては、第一に、プロジェクト運営元の資金調達状況・開発アップデート頻度・コミュニティ運営体制を定期的にチェックすること。第二に、高額NFTや大量トークンを単一プロジェクトに集中させず、ポートフォリオを分散すること。第三に、Unagiのように司法手続きが始まった場合は、公式アカウントだけでなく現地官報や裁判所公告を確認し、売却スケジュール・買い手候補・既存ユーザー向け声明を追跡することが重要になる。
Unagiの司法清算は、Web3ゲームが「スタートアップとしての現実」から逃れられないことを改めて突きつけた。オンチェーン資産は守られても、サービスとしての価値はオフチェーンの企業体力に左右される——この構造的なねじれは今後も続く。Blur、Abstractに続く第3弾となった今回のケースは、プレイヤーに「どの運営を信じるか」という選別眼を、プロジェクト側に「持続可能な経済設計」を強く問いかけている。買い手が現れ、IPとコミュニティが新たな体制で再出発できるかが、業界全体にとっての試金石となるだろう。
Persona Journey 公式X(清算発表):https://x.com/Persona_Journey/status/2111017494638989701
Unagi Studio 公式X(清算発表):https://x.com/Unagi_studio/status/2111017315567321251
Persona Journey 公式サイト:https://personajourney.io/
Unagi 公式サイト:https://unagi.games/
Web3 game developer Unagi has entered judicial liquidation proceedings, with all assets publicly for sale